「かたちから光の所在を追いかける」。青木豊が個展で約18点の新作絵画を発表

物質的な絵画制作を通じて、光というものにアプローチしてきた画家の青木豊。その個展が、東京・天王洲のKOSAKU KANECHIKAで開催されている。会期は3月7日~4月11日。

青木豊 Untitled, 2020 (C)Yutaka Aoki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

 光へのアプローチを軸に、絵画の可能性を探求し続ける青木豊。立体を取り入れた絵画や、絵画を描くように制作した立体作品など、2次元と3次元を自由に行き来するような作品を発表してきた。いずれの作品も、素材の物質性や制作プロセスそのもの、そして鑑賞者の目線の動きが互いにどう反応しあうかについて、青木はつねに意識的である。

 2019年開催の個展「Today’s」(KOSAKU KANECHIKA、東京)では、それまでの探求で得られた要素を各作品1点ずつに凝縮させた作品を発表。同展は、青木の作家としてのひとつの区切り、転機となるようなものとなった。

 それ以降の青木は、画家としてどういった方向を目指してきたのだろうか。その挑戦の方向性を示唆する個展「INTO THE AIR」が、東京・天王洲のKOSAKU KANECHIKAで開催されている(3月7日~4月11日)。本展を開催するにあたって、青木は次のようにコメントしている。

二度ない場面、その瞬間の光を描く。 光に暴かれた色、色によって明確になるかたち。 そして、かたちから光の所在を追いかける。 たえず連続するこの動きを一瞬留めたい。 

 これが示すように、本展では、刻々と変わる絵画の豊かな表情──相互に関係性を持つ光、色、かたち、物質的側面、そして精神性などの様々な要素──を一瞬のうちに留め、その充溢を描くことを試みた約18点の新作絵画が並ぶ。

 小さめのキャンバスに細部をクローズアップして描き、見た風景を再発見するような作業は、青木自身にとっても新鮮な作業であり、実験と新たな発見のプロセスだったという。ダイナミックな筆致とストロークの痕跡が光を拾い、青木の絵画のボリュームを暴くだろう。

青木豊 Untitled, 2020 ©︎ Yutaka Aoki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

編集部

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