1972年に千葉県で生まれた鈴木親(ちかし)は、98年に渡仏。92年にパリで創刊されたインディペンデントマガジン『Purple』で写真家としてのキャリアをスタートさせた。
以降、これまで『i-D』(イギリス)、『DAZED&CONFUSED』(イギリス)『commons&sense』(日本)をはじめとする国内外の雑誌から、イッセイ・ミヤケ、TOGA、Y'sなどのコマーシャル、GUCCIやFACETASMのムービー制作、ビョークの『Biophilia』での撮り下ろしまで、その活動は多岐にわたる。
本展では、鈴木のこれまでの作品群から花、東京の風景、ポートレイトなど、約30点をセレクトして展示。会場で並ぶ作品は、すべてフィルムで撮影されたもので、鈴木は「デジタルカメラの普及をきっかけに、フィルムの制限の中で何が自由かを考え、性能が悪いと考えられていたハーフカメラの不自由さを、逆に魅力にする制作を始めた」という。
ディレクションされた写真とスナップ、そして未発表の作品も混在する本展で、鈴木の思考の過程や、その眼差しの広がりを垣間見たい。