造形作家・岡﨑乾二郎の大規模個展「視覚のカイソウ」が、愛知県の豊田市美術館で開催される。本展は、02年にセゾン美術館で開催された「ART TODAY 2002―岡崎乾二郎展―」以来、17年ぶりとなる岡﨑の大規模個展。会期は11月23日~2020年2月24日。
岡﨑は、村松画廊での初個展「たてもののきもち」(1981)で、レリーフによる「あかさかみつけ」シリーズを発表して以来、彫刻や絵画、映像、メディア・アート、建築のほかにも、テキスタイル、舞台美術、絵本、タイル、描画ロボットによるドローイングなど、様々な分野で制作活動を続けてきた。
さらに総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」の企画制作や、ヴェネチア・ビエンナーレ第8回建築展の日本館ディレクター、多分野にまたがる批評を行うなど、その多面的な活動は、個の領分を超えた広がりと深い知性を表す。
豊田市美術館では、17年に岡﨑の企画監修による展覧会「抽象の力」を開催。同展は、抽象芸術が本来持っていた現実的かつ具体的な力を明らかにし、一元的なモダニズムの美術史観を軽やかに翻すものだった。本展は、その次なる試みとして岡﨑自身の作品とその活動の全貌を紹介。初期代表作に先立つ原点的作品《かただみのかたち》(1979)から、新作の絵画や彫刻、タイル作品やドローイングまでを通覧することができる。
また、岡﨑が主著『ルネサンスー経験の条件』で明晰な分析を行った「ブランカッチ礼拝堂壁画」の再現も見どころのひとつ。AR(拡張現実)の技術を用いて、各壁画の登場人物たちの複雑な重なり合いを体験できる本作は、岡﨑の絵画やレリーフの構成への理解を深める機会となるだろう。