2017年より、日本の多様な現代美術を紹介する特別展を開催してきた尾道市立美術館。現在、その第3弾となる展覧会「ここからむこうまで 」が開催されている。会期は10月27日まで。
本展では、広島や尾道に住み、あるいは関わりを持つと同時に世界と向き合い作品を制作している6組のアーティストの新作を中心に紹介。出展作家は、現代社会が孕む諸問題と真摯に向き合い、ユーモアを交えた独自の表現を展開する柳幸典、家族など身近な人々のスナップ写真をもとに、群像形式の人物画を描く人物画を描く小西紀行、尾道の山手地域にある空き家や廃墟などをリサーチしながら、そこに存在する孤立した記憶を作品化する「もうひとり」(小野環+三上清仁)、長方形の枠を飛び出してキャンバスを張りながら手で描くなど、自由な絵画のための方法論を生み出してきた小林正人、自身の故郷である広島の歴史とつながる立体作品やインスタレーションを制作する岩崎貴宏、物の存在や意識の構造に注目し、様々なメディアを用いて複合的な制作を行う小金沢健人の6組だ。
人間だれもが、いまいる地点から全方向に広がる世界をそれぞれの方法でとらえながら生活している。本展では、日常の身近な物事を介して関わるスタンス次第で、人々はどこまでも遠くともつながるということを示す。