小金沢健人が提示する「裸の劇場」とは? KAATの個展と様々なプログラムで、劇場空間のオルタナティヴなあり方を問う

劇場空間を使用し、美術とパフォーミング・アーツの新たな「交差点」を提案するKAAT 神奈川芸術劇場の企画「KAAT EXHIBITION」。4回目となる今年は、独特の映像表現やインスタレーションで知られる小金沢健人の個展「Naked Theatre―裸の劇場―」を軸に、多彩なプログラムを展開する。会期は4月14日~5月6日。

小金沢健人 Naked Theatre 2019 ©︎Takehito Koganezawa

 KAAT 神奈川芸術劇場の全体を使用し、美術とパフォーミング・アーツの融合を目指す「KAAT EXHIBITION」。4回目となる今年は「Naked Theatre(裸の劇場)」をテーマに、アーティスト・小金沢健人の個展を軸とした多彩なプログラムを展開する。

 小金沢健人は1974年生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、99年からはベルリンを拠点に活動を始める。これまでアメリカ、ブラジル、オーストラリアなど世界各国で作品を発表し、独特な映像表現で注目を集めてきた。

 物の存在や意識の構造に注目し、近年はドローイングやパフォーマンスなど、様々なメディアを用いて複合的な制作を行う小金沢。最近は「Three Monochromes」(rin art association、2018)、「煙のゆくえ」(スパイラル、2016)などの個展を開催するほか、「Asian Art Award 2018」では大賞を受賞した。

小金沢健人 速度の落書き 2008 神奈川県民ホールギャラリー

 本展のモチーフとなるのは、普段劇場を埋め尽くしている「演目」ではなく、むき出しになった「裸の劇場」だ。小金沢はKAATの舞台照明や音響設備、スモークマシンなどを身体器官のようなものとしてとらえ、劇場そのものを顕在化することに着目。多くの機材とそれを動かすスタッフ、舞台セットの搬入・搬出、電気工事から本番の稽古まで、劇場で日々起こることを取材しながら制作を行った。

小金沢健人 Naked Theatre 2019 ©︎Takehito Koganezawa

 小金沢は公演準備を行うスタッフたちの音声を録音・編集し、会場となる劇場を再構築。また、機材を日常の業務から開放し、劇場そのものの声として立ち上がらせることを試みる。過去の時間と空間の声が響くインスタレーションでは、「裸の劇場」がのびやかに呼吸する姿を見ることができるだろう。

 なお会期中には、ピアニストで作曲家のスガダイローや、詩人・ラッパーとして知られる志人を招いてのパフォーマンスなど、様々なプログラムが開催予定。こちらもあわせてチェックしたい。

編集部

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