近藤聡乃は1980年生まれ、2003年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。08年よりニューヨークを拠点とする。幼少期の記憶やとらえどころのない感覚を汲み取り、マンガやアニメーション、絵画、エッセイなど幅広い手法で制作を行ってきた。
今年はアヌシー国際アニメーション映画祭で《てんとう虫のおとむらい》(2005-06)が上映されるなど、国内外での評価を確かなものにしている近藤。近年の主な展覧会に「MAM SCREEN 008: 近藤聡乃」(森美術館、2018)、「Forms and Effects: Ukiyo-e to Anime」(Kresge Foundation Gallery、2017)などがある。
そんな近藤の初となる回顧展「呼ばれたことのない名前」が、福岡の三菱地所アルティアムで開催される。会期は10月12日~11月10日。
本展では代表的なアニメーション作品のほか、高校時代に初めて描いたマンガ『女子校生活のしおり』や現在連載中の『A子さんの恋人』、そして未発表の絵画作品を含む約50点を紹介。また「何とも説明し難い、懐かしいような、気がかりなような」「既視感の気分」といった意味を持つ古い言い回し「胸がきやきやする」に着想を得て、アニメーションやスケッチ、絵画、ドローイングなど異なるメディアを用いた作品《KiyaKiya》の作品群も展示される。
1998年から現在まで、近藤の活動の軌跡を振り返る本展。その多面的な創作から浮かび上がる、独自の表現世界を堪能したい。