日本の有名建築が完成する過程には、建築家だけでなく構造家の存在が欠かせない。構造家は建築家のイメージする空間を実現すべく、対話を繰り返しながら構造システムを検討し、思想を持って構造をデザインする。
そんな「構造家」約50名の思考とデザインに焦点を当てた展覧会「構造展 -構造家のデザインと思考-」が、建築倉庫ミュージアムで開催される。
本展は、建築家・丹下健三とともに国立代々木競技場(1964)を手がけた坪井善勝をはじめ、磯崎新や伊東豊雄、妹島和世の作品の構造設計を手がける佐々木睦朗、隈研吾の初期作品を支えた中田捷夫、田根剛と協働する金田泰裕らの仕事を紹介するもの。
会場では、50点におよぶ名建築の構造模型、プロジェクト完成にいたるまでのプロセスが伝わるスケッチなどを展示。構造解析映像や現物モックアップなども並び、そのシステムやディティールを体感することができる。また、本展のために撮り下ろされた、20名以上の構造家の思考に迫るインタビューも公開される。
国立代々木競技場から東京タワー、大阪万博お祭り広場など、1950年代から現代までの名建築における「構造」が集結する本展。日本の構造家たちが築いてきた多様な美学や完成を、会場全体を通じて感じることのできる内容となっている。