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NEWS / REPORT - 2019.6.10

隈研吾がデザイン。中国・成都の「知・芸術館」を知っているか?

中国四川省成都の郊外、道教の聖地である老君山のもとにある隈研吾が建築の設計を手がけた私設美術館「知・芸術館」をご存知だろうか? 現在そこで、中国の書家と抽象画家である魏立剛(ウェイ・リーガン)の大回顧展「万物(Universality)」が開催されている。会期は8月18日まで。

「知・芸術館」の外観

 中国四川省成都の郊外、道教の聖地である老君山の麓に、隈研吾が建築設計を手がけた私設美術館「知・芸術館」がある。

 光と水をテーマとした本館は、「道は自然に法る」という東洋の哲学を体現するもの。水に囲まれた建物の外壁には、地元の工場で伝統工法によってつくられた瓦をステンレスのワイヤーで固定。軽やかで透過性のあるスクリーンをつくりだしている。この瓦のスクリーンは自然光を館内に引き込む役割を果たし、ラフでナチュラルな瓦を使用することで、建築は周囲の自然と有機的に調和している。

「知・芸術館」の外観
建物の外壁にステンレスのワイヤーで固定している瓦

 同館の館長・王从卉(ヴァレリー・ワン)は、美術館についてこのようにコメントしている。「知・芸術館は、現代美術の国際的な文脈のなかで、東洋美学の過去、現在そして未来を探求することに焦点を当てています。『知』は完全に開放的なシステムを意味しており、既知の世界から未知へ、そして有限から無限へと探求することを目指しています」。

美術館の入り口

 地下1階と地上2階で構成される美術館は、約2400平米の展示スペースを持つ。2014年7月にはデザイナー・原研哉が企画した「犬のための建築」展をこけら落としの展覧会として開催。その後、東洋美学に特化した展覧会を開催するとともに、趙無極(ザオ・ウーキー)や井上有一、曽梵志(ゾン・ファンジー)など東洋の近現代美術を代表するアーティストの作品によるコレクションを形成してきた。

 現在同館では、中国の書家と抽象画家である魏立剛(ウェイ・リーガン)の大回顧展「万物(Universality)」が開催中。本展では、作家の30年以上にわたる制作を概観する、書道や水墨画、彫刻、インスタレーションなど58点の作品を展示している。

「万物」展示風景
「万物」展示風景

 漢字や書道をモチーフに作品を制作することで知られている魏は、絵画のなかで「漢字」を分解して再構築することで、中国の伝統的文化を西洋の抽象画のようなかたちで表現する。ヴァレリーは、「ほとんどの中国人アーティストにとって、書道と漢字は宝物でありながら、重い負担でもあります」とし、「しかし、魏は漢字を国際文化交流のゲームに取り入れ、国際的な現代美術の文脈のなかで中国の書道を奇妙な手法で提示しています」と語る。