2019.6.8

ラファエル前派から《曜変天目茶碗》まで、今週末に見たい3つの展覧会

6月9日までに終了する展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。この機会をお見逃しなく。

「ラファエル前派の軌跡」展示風景より、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)》(1863-68頃)
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まとまったかたちで作品を見る貴重なチャンス。「ラファエル前派の軌跡展」(三菱一号館美術館

展示風景より、手前がエドワード・バーン=ジョーンズ《赦しの樹》(1881-82)

 1848年、画家のダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイらが結成した前衛芸術集団「ラファエル前派同盟」。彼らの精神的な指導者となり、19世紀の英国美術の発展に大きな影響を与えた思想家、ジョン・ラスキンの生誕200年を記念した展覧会「ラファエル前派の軌跡」展(三菱一号館美術館に)が6月9日に閉幕する。

 会場に並ぶのは、ラファエル前派同盟の作品を中心に、ラスキンが自著で論じたことでその評価の確立に与した、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの油彩画・水彩画や、ステンドグラス、家具など約150点。作品保存の観点から公開される機会は少ないというラファエル前派の作品をまとまったかたちで鑑賞できる本展は、当時の画家たちの志と熱に触れることのできる貴重な機会と言えるだろう。

会期:2019年3月14日~6月9日
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、6月3~7日は〜21:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
料金:一般 1700円 / 高校・大学生 1000円 / 小・中学生無料

 

人々の生活を彩ったグラフィック作品。「世紀末ウィーンのグラフィック-デザインそして生活の刷新にむけて」(目黒区美術館

左=グスタフ・クリムト ウィーン分離派の蔵書票 1900頃
右=ベルトルト・レフラー『ディ・フレッヒェ(平面)-装飾デザイン集(新シリーズ)第Ⅱ巻』 1910/11

 京都国立近代美術館で開催された「世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて」が、目黒区美術館に巡回中だ。

 本展では2015年に京都国立近代美術館のコレクションに加わった、19世紀末ウィーンの優れたグラフィック作品を紹介。これらの作品群はアパレル会社・キャビンの創業者である平明暘が蒐集したもので、当時のウィーンで生み出された版画や挿絵本、装丁、壁画の原画など、様々な作品群を擁する。約300点のグラフィック作品に加え、リヒャルト・ルクシュによる石膏彫像と、貴重なアドルフ・ロースによる家具一式にも注目したい。

会期:2019年4月13日〜6月9日
会場:目黒区美術館
住所:東京都目黒区目黒2-4-36
電話番号:03-3714-1201
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし5月6日は開館)、5月7日
料金:一般 800円 / 大学・高校生、65歳以上 600円 / 中学生以下無料

 

《曜変天目茶碗》をはじめとする国宝9件。「国宝の殿堂 藤田美術館展-曜変天目茶碗と仏教美術のきらめき-」(奈良国立博物館

国宝 曜変天目茶碗 中国・南宋 藤田美術館蔵

 約2000件におよぶ世界屈指の日本・東洋美術コレクションを有する大阪の藤田美術館。同館所蔵の《曜変天目茶碗》をはじめとする国宝9件、重要文化財約50件を紹介する展覧会「国宝の殿堂 藤田美術館展-曜変天目茶碗と仏教美術のきらめき-」 が、奈良国立博物館で6月9日まで開催中だ。

 本展の一番の見どころは、世界に3椀しか現存しないと言われる国宝《曜変天目茶碗》。曜変天目とは、12〜13世紀に中国でつくられた天目茶碗のうち、偶然に美しい光彩が生じたもののこと。宇宙に浮かぶ星のような輝きが現れる理由はいまだ解明されておらず、再現は不可能とされている。

 また、館外初公開となる《仏像彩画円柱》や、快慶晩年の重要文化財《地蔵菩薩立像》も登場し、極彩色の仏教美術を心ゆくまで楽しむことができる。

会期:2019年4月13日~6月9日
会場:奈良国立博物館
住所:奈良市登大路町50
電話番号:050-5542-8600
開館時間:9:30〜17:00(金〜19:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1500円 / 高校・大学生 1000円 / 小・中学生 500円