東京・上野の国立西洋美術館で、フィンランドで活躍した女性芸術家を紹介する展覧会「モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち」が開催される。
19世紀後半から20世紀初頭のフィンランドでは、ロシアからの独立運動や、1917年に誕生する新しい国家の形成にともない、社会における女性の立場や役割に大変革が起こった。美術界においても、フィンランド初の美術学校が当初から男女平等の教育を奨励。女性たちは奨学金や留学の機会を得て、芸術家としてのキャリアを切り開いていった。
独立前後のフィンランドを生きた女性芸術家たちにスポットを当てた展覧会としては、日本で初めての試みとなる本展。フィンランド国立アテネウム美術館のコレクションから、約90点の作品を通して彼女たちの多彩な活動と功績を検証する。
出展作家は、フィンランドを代表するモダニズムの画家として知られ、2015~16年に日本で回顧展が開催されたヘレン・シャルフベック、当時では珍しいシングルマザーとして生計を立てるため批評活動に専念し、晩年に多くの絵画を残したシーグリッド・ショーマン、ロダンのアトリエ助手として《カレーの市民》(1884~88)の制作を補佐したシーグリッド・アフ・フォルセルス、そしてマリア・ヴィーク、エレン・テスレフ、エルガ・セーセマン、ヒルダ・フルディーンの7名。
ナショナリズムに湧く当時のフィンランドにおいて、「モダン」であり続けようとした女性芸術家たち。修行時代からそれぞれの表現を確立するまでを総覧する本展では、彼女たちの強さとしなやかさに出会うことができるだろう。