マリタ・リウリアは、フィンランドのヘルシンキとヘイノラを拠点に活動する美術家。ヘルシンキ大学で文学と政治史を学んだのち、アアルト大学でビジュアルアーツを専攻したリウリアは、メディアアート、絵画、写真、ステージパフォーマンス、短編映画、書籍、ゲームなど多岐にわたる表現活動を行っている。
これまでフィンランド国立美術館、原美術館、バンコク国立博物館など、世界50カ国以上で展覧会を開催してきたリウリア。パフォーマンスの分野においてもフィンランド文化財賞、スティーナ・クルック財団賞、プロ・フィンランディア賞を受賞するなど高い評価を得ており、これまでにジョン・F・ケネディ・センターや国立オペラ座、また、ヴェネチア・ビエンナーレといった国際展でもパフォーマンス公演を行ってきた。
アートとリサーチの取り合わせ、文学的思考とビジュアルアーツの結びつき、テクノロジーへの飽くなき探求心、性差への問いをベースに作品を展開するリウリアは、美術史上にないものを創造し、唯一無二の世界観を確立したとされ、つねにフィンランド美術の第一線を走っている。
2000年以降、より精神世界に入り込み、生きる術や宗教観に焦点を当てて制作活動を行っているリウリア。今回、東京・青山のスパイラルガーデンで開催される個展は、16年にフィンランド郊外のセルラキウス ミュージアム ゴスタで開催された大規模個展「Golden Age(黄金期)」をもとに新作絵画と写真作品を加え再構成したもの。
絵画作品には、難民問題、自然災害、異常気象、環境汚染といった世界の現状が物語的に表現され、フィンランドの人々を撮影した写真作品からは、長年世界各国を旅してきたリウリアが、いまあらためて故郷フィンランドへ向けているまなざしを感じ取ることができるだろう。また会期中にはリウリア本人による公開制作も行われる。04年の原美術館以来15年ぶりとなる日本での個展に期待したい。