2019.4.26

「生きられた庭」に紡がれる新たなナラティブ。キュレーターによるガイド形式のグループ展が京都府立植物園で開催

京都府立植物園で、野村仁や石毛健太など7名によるグループ展「生きられた庭」が開催される。本展はキュレーターによるガイドツアー形式で行われ、ウェブ上でも多様なドキュメンテーションの方法が試みられる。会期は5月12日~19日。

メインビジュアル デザイン=塩谷啓悟
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 京都市左京区の京都府立植物園で、展覧会「生きられた庭」が開催される。本展では7名のアーティストが植物園の中で展示を行い、キュレーターによる「ガイドツアー」が日々開催。また、会期中は「ドキュメンテーション」として公式ウェブサイトに多様な形態で記録がアップされる。

 本展には、インディペンデント・キュレーターやDJとしても活動する石毛健太、近現代彫刻の保存・修復を学んだ経験をもとに制作を行う髙橋銑などの若手作家が参加。いっぽう1945年生まれの野村仁は、重力と時間によって巨大な段ボールが崩壊する代表作《Tardiology》(1968-69)の、野外での再制作を行う。

野村仁 Tardiology : 岐阜 1995

 そのほかにも「ノンヒューマン・アーティスト」として人工ニューラルネットワークや立体音響の技術を用いる立石従寛、SNSなどに代表される肉体不在の人格をテーマに絵画を手がける多田恋一朗、そして牧山雄平、山本修路が参加。キュレーターは、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻に在籍する髙木遊が務める。

髙橋銑 人間がニンゲンになるとき 2019

 これら7名の作家による「庭」への異なるアプローチを、「ナビゲーション」と名付けられたガイドツアーで巡る本展。公式ウェブサイトではツアーの様子が会期中毎日アップされるほか、京都を中心に活動する小説家や批評家による季刊同人誌『モノシャカ』とのコラボレーションで、「庭」に関する物語を読むことができる。

 多様な生命の営みを宿す「生態系」の一部として存在する人間について思考する空間を、リアルタイムの出来事や記録によって描き出そうとする本展。作品を通して、展示装置としての美術館と植物園、そして人工と自然の多様な重なり合いを体感してみたい。

京都府立植物園内の様子 © Yuu Takagi