2019.4.17

「六本木アートナイト2019」全プログラムが決定。「スプツニ子!+西澤知美」やWOWの作品も

2009年にスタートし、今回で10回目を迎える一夜限りのアートの饗宴「六本木アートナイト2019」。「夜の旅、昼の夢」というテーマに沿って、多くのアーティストが六本木の街中にアートスポットを点在させる。その全プログラムの詳細が発表された。

カート・パーシキー《レッドボール・プロジェクト》のシカゴでの展示風景 Photo by Kurt Perschke
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 2009年にスタートし、今回で10回目を迎える一夜限りのアートの饗宴「六本木アートナイト2019」。今回は「夜の旅、昼の夢」というテーマに沿って、メインプログラム・アーティストの崔正化(チェ・ジョンファ)をはじめ、多くのアーティストが六本木の街中にアートスポットを点在させる。全プログラムの詳細が発表された。

 1960年代に注目されたポップアートに着想を得て、日常的かつカラフルな素材を用いて作品を制作してきたジョンファ。今回メイン・プログラムのひとつとして、国立新美術館の正門チケットブース横で一般参加型のアートプログラムも実施。参加者に寄付してもらったプラスチック製のカゴや皿、鍋などを積み重ね、抽象彫刻や寺院の柱のような作品を生み出すという。

六本木ヒルズアリーナ 完成イメージ

 六本木ミッドタウンには、約1万個のバルーンから成るオブジェ《ライフ・ライフ》を展示。同作は、子供の頃の楽しい記憶を想起させるだけでなく、モノに溢れた現代世界の様相も示唆する作品だ。

 加えて六本木ミッドタウン内では、「スプツニ子!+西澤知美」による《東京減点女子医大》や、WOWが06年にスタートしたプロジェクトの最新作品《motion texture 02》のほか、バンクシーによる初監督作品『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』なども見ることができる。

 《東京減点女子医大》は、18年8月に大学医学部の一般入試で女子受験者の得点を一律減点し、合格者数を抑えていたニュースから出発。

 スプツニ子!と西澤は、この日本の女性差別の問題を背景に「東京減点女子医大 - Tokyo Medical University for Rejected Women」という架空の大学を設立し、その学校の様子を作品として展示するという。《motion texture 02》は、デジタル情報がますます存在感を増しつつあるなかで、「存在する映像」をコンセプトに非物質である映像作品と住空間などの融合を試みる。

 六本木の街中ではアメリカ出身のアーティスト、カート・パーシキーが立ち上げたプロジェクト「Red Ball Project」が、世界30都市を経て日本に初上陸するほか、角文平による屋外インスタレーション《スリープ》も展示される。グローブ・ジャングルや三輪車、砂の城をモチーフに、静かに膨張収縮する無数の白いバルーン、そしてそれと同調するように光や音が加わった同作は、子供の存在と生命感を象徴している。

カート・パーシキー《レッドボール・プロジェクト》のシカゴでの展示風景 Photo by Kurt Perschke

 社会問題の考察を含む作品も数多く展示される「六本木アートナイト2019」。世界各地から約50点の作品が六本木に集結する貴重な機会だ。

「FUROSHIKI PARIS」の報告展も行われる Photo by Takuji Shimmura