現在公開中の映画『ヨーゼフ・ボイスは挑発する』。同作の公開を記念し、ボイスの掲げた「社会彫刻」という言葉をテーマに掲げたリレー展示「現代の社会彫刻」展が、アップリンク吉祥寺で開催されている。
都市型フェスティバル「THE M/ALL」による「MAKE SOME NOISE」、クィアネスをイラストで表現するカナイフユキによる「ドミナントストーリー -わたしは男の子-」に続き、第3弾はアーティストの磯村暖が個展「Hell on Earth」を開催する。
磯村は1992年生まれ、2016年に東京藝術大学を卒業。これまでLGBTQや移民、宗教などをキーワードに、インスタレーションや絵画など様々なメディアを用いて制作を行ってきた。現在、銀座 蔦屋書店のアートウォール・ギャラリーで個展「わたしたちの防犯グッズ」を開催中(4月30日まで)。
本展で磯村は、タイの寺院で数多く制作されている地獄を表すセメント彫刻から、いわゆる「アーティスト」ではない人々がつくるフォークアートの文脈を考察。2016年に自身が制作したセメント彫刻と、それらが立体として表現されることの奇妙を描いた新作の大型ドローイングを発表する。
先日開催されたトークイベントで「(映画には)当時のドイツに民主主義がなくて人間に自由がないという話が出てきますが、今の日本でそういう風に感じる事が多いので、皆でボイスの事を話したい」と語った磯村。ボイスの思想と共鳴するその作品を、映画とともに鑑賞してみてはいかがだろうか。