この春より、銀座 蔦屋書店による気鋭のクリエイターを紹介する展覧会シリーズ「銀座 蔦屋書店ART PARTY」が始動する。銀座 蔦屋書店といったオープンな空間での作品展示を通して、アーティストの刺激的なアイデア、時代のアクチュアリティ、そしてアートそのものの醍醐味を、来場者に身近に感じさせることを試みる企画だ。
記念すべき第1回目の「銀座 蔦屋書店 ART PARTY 2019.04」は、1992年生まれの注目アーティスト・磯村暖の個展「わたしたちの防犯グッズ」が開催される。磯村は、油彩画からアクリル画、セメントの彫刻、陶器、ヴィデオ作品まで様々な素材と技法を用いて制作を行ってきた。
東京藝術大学を卒業後、ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校に参加し、最終講評では金賞を受賞。2017年より東京、ロンドンでの個展開催のほか、「NAKAMA de ART」といった話題のグループ展にも参加するなど、近年アーティストとしての立ち位置を着実に固めてきている。
土着信仰や宗教美術における綿密なリサーチをもとに展開される磯村の作品世界は、一見するとカオティックでありながら、仏教などの宗教が原初的に持つ死生観と、ジェンダーやグローバリゼーションといった現代の社会の軋みを独自の表現で結びつけ、宗教美術の習合的ダイナミズムを生き生きととらえる。
「わたしたちの防犯グッズ」と題された本展で、磯村は新たな作品コンセプトを提示。自らを取り巻く「分断」の局面に真摯に向き合った新作・近作で、ユーモラスでやわらかな定言命法を提示する試みだ。