束芋は1975年兵庫県生まれのアーティスト。99年に京都造形芸術大学を卒業した。卒業制作である、アニメーションを用いたインスタレーション作品《にっぽんの台所》がキリン・コンテンポラリー・アワード最優秀作品賞を受賞。早くからアーティストとして注目を集めることとなった。
おもに浮世絵を想像させる手描きドローイングを使った映像インスタレーションで知られる束芋。2011年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選ばれ、近年では現代舞踊や伝統芸能とのコラボレーションなど、多岐にわたる活動を展開している。
16年には、シアトル美術館で同館の所蔵品とそれをもとに制作した映像インスタレーションをあわせて展示。その後、別の会場で同作品を展示した際には、もととなったシアトルの所蔵作品とは切り離して展示を行った。これを機に束芋は、オリジナルと自身の作品を切り離して展示することで、オリジナルに囚われない自由さや可能性が作品に出てくるのではないかと考えるようになったという。
そんな束芋の個展「透明な歪み」が、東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスで開催される。本展は、新作アニメーション作品と、自身初となる油絵を含む約10点で構成。展示作品にはすべて原作が存在するが、原作は伏せて展示され、鑑賞者は各々違った角度から自由に楽しむことができる。