わずか1ミリに満たないペン先から壮大な世界を描き出す画家の池田学。独自の世界観による細密描写とインスタレーションで魅了する陶芸家・葉山有樹。そして、ナウシカの「メーヴェ」を実際に制作したことで知られるメディア・アーティストの八谷和彦。このまったく作風の異なる3名の共通点は、佐賀県出身ということだ。この3名による展覧会「三人展-Forward Stroke 明日への眼差し-」が、佐賀県立美術館にて開催される。
池田は1973年佐賀県多久市生まれ。98年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業、2000年同大学院修士課程修了。卒業制作にて紙に丸ペンで描く独自の細密技法を確立。以降、圧倒的な緻密さとともにユニ一クな感性と想像力溢れる作風により高く評価されている。
いっぽうの葉山は61年佐賀県有田町生まれ、75年当地の窯元に入社。85年に佐賀県山内町にて「葉山有樹窯」を開窯した。東西の古代文明までわけいる徹底したテーマの探求と、肥前陶磁の伝統に裏打ちされた技巧が凝縮された作品で注目を浴びる。近年ではインスタレーションに取り組むほか、童話や小説も手掛けるなど、陶芸家の枠を超えたアーティストとして国内外で活動している。
そして八谷は66年佐賀県佐賀市生まれ、東京藝術大学美術学部准教授。 九州芸術工科大学卒業後、ペットワークス社を設立。電子メールソフト「ポストペット」の開発者としても知られている。近年は宮崎駿による作品『風の谷のナウシカ』に登場する架空の飛行具「メーヴェ」の実機を作るプロジェクト「オープンスカイ・プロジェクト」に取り組んでおり、自身がテストパイロットも務めている。
本展では分野の異なる創作活動を行っている3名の代表作を公開するとともに、作家それぞれが展示室1室の展示を担当し、工夫を凝らした展示空間を創出。出身地という特別な場所で実現した、ほかにはない展覧会だ。