江戸時代より、鍋島焼や鍋島緞通など、将軍家へ献上される最高級の工芸品を生産してきた佐賀藩。江戸末期にはいち早く欧米の技術に着目し、藩士に油彩画を学ばせるなど先進的な取り組みを行ってきた。そんな佐賀の美術の名品を「美」と「技」の2つのテーマで紹介する展覧会「温故維新-美・技の SAGA-」が佐賀県立博物館・美術館で開催される。
「美」をテーマにした展示では、日本の近代洋画をリードした百武兼行、久米桂一郎、岡田三郎助をはじめ、現在国内外で活躍する吉岡徳仁や池田学まで、佐賀と関わりの深い美術家の代表作を通して明治維新からの150年の歴史をたどる。
また、「技」をテーマにした展示では、佐賀藩が将軍家へ献上した鍋島焼や鍋島緞通など、いわゆる「鍋島ブランド」の美術工芸品をはじめ、幕末期から明治期にかけて国内外で開催された各種博覧会への出品作や、染色家の鈴田滋人など人間国宝の代表作を紹介し、佐賀のものづくりの底力・奥深さを伝える。
会期中には、明治学院大学教授・山下裕二による佐賀の美術をテーマにした講演会や、岡田三郎助のアトリエを舞台とした貴重なドキュメンタリー映画『あるアトリエの100年』の特別上映も行われるので、こちらもあわせてチェックしたい。