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美術評論家連盟、白川昌生作品の出品取り消しで群馬近美に抗議声明

国際美術評論家連盟の日本支部にあたる美術評論家連盟(会長:峯村敏明)は5月31日付で、群馬県立近代美術館で開催されている企画展「群馬の美術2017」における白川昌生作品の出品取り消しに対する抗議声明を群馬県知事および群馬県立近代美術館宛に送付、公表した。

白川昌生 群馬県朝鮮人強制連行追悼碑 2015 写真提供=白川昌生

 今回、美術評論家連盟が群馬県知事および群馬県立近代美術館宛に送付、公表した「『群馬の美術2017』における白川昌生氏の出品取り消しについての抗議声明」とは、2017年4月22日に群馬県立近代美術館で始まった企画展「群馬の美術2017」(6月25日まで)において、出品作家の白川昌生による朝鮮人労働者追悼碑を模した作品《群馬県朝鮮人強制連行追悼碑》(2015)の展示が、同館の判断により開催直前で取りやめになったことに対するもの。

 同館は、この取り消しに関する美術手帖からの問合せに対し、「係争中の事件に関連した作品のため展示を見送った」としていたが、白川は自身のTwitterで「群馬朝鮮人強制連行追悼記念碑の排除問題は現在裁判が進行中です。群馬県美に出しましたが、館長判断で撤去ということになりました。今の日本では美術館は行政よりも下にいる状態で忖度が先に立つ。記念碑の問題はここ10年前から行政判断によるモミュメントの改ざん、排除の動きが出ている」との意見を発信していた。

 美術評論家連盟は、出品取り消しが「個人による作品の発表や表現の自由、市民による鑑賞の機会とその権利を奪い、加えて憲法21条2項に明記された検閲と事前抑制の禁止に抵触する」とし、「同館の対応は、作家の権利と公共の利益を省みない不当な判断であると考えます」と表明。「白川氏が投げかけた、追悼碑をめぐる現況に対する問題提起を一方的に抑圧し、この作品を契機にした多様な意見の交換と議論の可能性を奪ったこの措置に対し強く抗議するとともに、今回の不当な判断について、美術館設置責任者である県知事と、美術館の運営責任を司る当該館長においては、我々専門家のみならず、一般市民に対しても、公式の説明責任を果たすことを求めます」としている。

 なお、抗議声明の全文は美術評論家連盟ウェブサイトで確認できる。

※白川は美術手帖の取材に対し、今回の声明について以下のようなコメントを寄せた。(6月3日追記)

今回の作品撤去は、開催の前日に館長決定ということで決まりました。企画展であったので作家側としては美術館の決定を受け入れました。連盟からの声明文は、私の作品展示への支援だと思い。ありがたいです。

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