PREMIUM

101年ぶりにヨーロッパへ。マルテ・ドナ《ダンス》、日本でヨーロッパ・モダニズム理解を拓いた前衛の一作

第一次世界大戦直後の激動期に男性中心の美術界で異彩を放ち、前衛を切り開いたベルギー人女性画家がいた。マルテ/トゥール・ドナだ。池田20世紀美術館が所有する彼女の大作《ダンス》は、現在101年ぶりにヨーロッパを訪れ、現在アントワープ王立美術館で開催中の展覧会「ドナ、アーキペンコ、そしてセクション・ドール:魅惑のモダニスム」にて展示されている。《ダンス》が日本に渡った背景には、前衛美術が紡いだ知られざるモダニズムの物語と、国境を越えた芸術交流の軌跡があった。

NEWS / REPORT

「野村正治郎とジャポニスムの時代―着物を世界に広げた人物」(国立歴史民俗博物館)レポート。ジャポニスムにより残された着物文化の精華

世界最大級の着物コレクションを有する国立歴史民俗博物館で、その主軸となる野村正治郎が収集した着物の優品を紹介する展覧会が開催中だ。西欧ではジャポニスム・ブームが華やかなりしとき、美術商として活躍しつつ、国内にもその重要性を啓蒙し続けた人物を華麗な着物コレクションに追う。会期は12月21日まで。

NEWS / REPORT

第89回

櫛野展正連載「アウトサイドの隣人たち」:「できること」を失った先に

ヤンキー文化や死刑囚による絵画など、美術の「正史」から外れた表現活動を取り上げる展覧会を扱ってきたアウトサイダー・キュレーター、櫛野展正。2016年4月にギャラリー兼イベントスペース「クシノテラス」を立ち上げ、「表現の根源に迫る」人間たちを紹介する活動を続けている。彼がアウトサイドな表現者たちに取材し、その内面に迫る連載。第89回は、癌治療により創作や生活の自由が奪われた齋藤七海さんの言葉が投げかける問いに迫る。

地域レビュー(北陸甲信越):尺戸智佳子評「シーラカンス開館10周年 武士郎の多相世界」(シーラカンス 毛利武士郎記念館)/「小林千紗のガラス−ゆれる呼吸−」(Gallery O2)

ウェブ版「美術手帖」での地域レビューのコーナー。本記事では尺戸智佳子(黒部市立美術館学芸員)が、彫刻家・毛利武士郎の制作や人間像を捉え直した「シーラカンス開館10周年 武士郎の多相世界」(シーラカンス 毛利武士郎記念館)と、ガラスを素材に呼吸を具現化する作家・小林千紗「小林千紗のガラス−ゆれる呼吸−」(Gallery O2)の2展を取り上げる。

REVIEW

最良の環境で「素材・技術・美」の三拍子そろった作品を。「ア・ライトハウス・カナタ」が切り拓くアート界の未来

東京・表参道にこの10月、地上3階建+屋上フロアの規模を有する大型ギャラリーが出現した。西麻布から移転したア・ライトハウス・カナタである。今後ここでどのような活動が展開されていくのか。創業者の青山和平に話を聞いた。

INTERVIEW / PROMOTION

PREMIUM

ミケル・バルセロが信楽の土に見出したもの

スペインを代表するアーティストのひとりであるミケル・バルセロ。1982年に国際美術展「ドクメンタ7」でデビューして以来、第一線で活躍を続ける作家が、初めて信楽焼の作品を手がけ、ファーガス・マカフリー東京で披露した。かねてより親交がある美術史家で慶應義塾大学教授の松田健児がその制作について聞いた。

INTERVIEW