「バグスクール」の楽しみ方
──バグスクールが注力している作品販売については、どう取り組みますか?
Aokid 自分の作品が売れるかどうかは、正直フタを開けてみないとわかりません。ただ今回は、いろいろなプログラムが用意されていて、来場者とのコミュニケーションの経路も多く生まれるはずです。そのつながりを販売にも結びつけられたらいいなと思っています。作品の販売については、これまでなかなか苦労してきました。とくにダンスは対価労働のような側面があり、舞台で動いた分の報酬をいただくというのがベースとしてありますが、そのダンスでのワークショップ的なアプローチとアートを結びつけるようなアイデアに期待などしつつ、「売る」ということを改めて考える機会にできたらと思います。
芦川 版画作品は平面で比較的売りやすい形態ではありますが、複製できるため一点モノにはなりません。買う側からすれば、「この世にたったひとつの作品だから欲しい」という気持ちもあると思うので、エディションがある版画は不利に見える面もあります。今回は、そのあたりの解決策も探ってみたいです。例えば、なんらかの方法でインスタレーションと組み合わせて販売するなど、できるかぎりの試みをしてみようと考えています。
吉田 今回の展示で販売できるものとしては、会場で複製した光そのものや、光の複製装置、光を複製するための“レシピ”、あるいはこれまで僕が取り組んできた制作プロセスをまとめたテキストなどが考えられます。かたちのない「光」を、どのように販売という経路にのせていくか。その方法を、ぎりぎりまで模索したいと思っています。

──自身の作品やプログラムを、来場者にどう楽しんでもらいたいですか?
Aokid 巷には展覧会があふれていますが、どこかのっぺりとした体験に終わってしまうことも多いように感じています。今回の展示では、顔が赤らんだり、動悸が激しくなったりと、身体が反応するほどの衝動的な体験を組み込めたらと考えています。
芦川 たしかに、私もAokidさんと同じようなことを感じています。展覧会の場で、誰かが作品に没入して動けなくなってしまうような光景って、あまり見かけませんよね。観る人が画面に惹き込まれ、思わず我を忘れてしまう。そんな状態を、自分の作品によって生み出せたらと思っています。
吉田 バグスクールが提供しようとしている鑑賞体験・参加型プログラム体験・作品購入の体験の3つをフルに味わってもらえたら何よりですが、どんなかたちであれ、まずは足を運んでもらえたらうれしいです。僕としては、予備知識がまったくない状態でふらりと立ち寄った人にも、おもしろさがきちんと伝わる作品やプログラムを提供したいと考えています。
池田 展示そのものが見応えある内容になっているのはもちろん、各アーティストが日々参加型プログラムを開いているので、BUGに来ればいつも何かが起きている、そんなアクティブな雰囲気が今年も生まれています。ぜひ一度と言わず、何度でも足を運んでいただけたらと思います。




















