「神戸六甲ミーツ・アート」が築いてきたものとは? 総合ディレクター・高見澤清隆インタビュー【3/3ページ】

恒例の企画も始動

──今年で15回目の開催を迎え、その規模を拡大してきました。初回と比べて大きな変化はありましたか?

 来場者から「1日ですべて回りたい」といった意見を多くいただいてきたこともあり、今年の展示は六甲山上エリアに集約しています。瀬戸内国際芸術祭みたいにあえて広域にしてしまう手段もあるのですが、現状はどちらかというと広げるよりも深める方向でいきたいと考えています。

──今年のテーマ「新しい視界 Find new perspectives.」について、その意図を教えてください。

 世界中で戦争や紛争が起きていますよね。対立軸が盛んに構築されているその要因のひとつに、情報の手に入りやすさがあると考えています。手に入った情報だけで考えをまとめて、それがマジョリティであると勘違いしてしまう。非常に危険なことです。そういった意味でも、現地や対面で情報を得ることをあらためてトレーニングし直す必要があると感じています。自分とは違う生き方や考え方をのぞく窓が現代アートにはあります。その窓から見える景色を探っていく機会をつくり出していきたいという思いが今年のテーマには込められています。自身の窓を閉じないようにするために芸術があると思いますから。

「神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond」展示風景より、川俣正《六甲の浮き橋とテラス エクステンドブリッジアンドテラス》 撮影=編集部

──9月21日からは恒例の企画「ひかりの森〜夜の芸術散歩〜」も始まっているそうですね。

 はい。今回は夜間作品のアーティストとして髙橋匡太さんと竹中美幸さんの2人が参加し、ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園でほかの作品を含め展示・ライトアップしています。山の暗闇は非日常体験ですよね。土日祝17:00から20:00まで開催されていますのでぜひ足を運んでいただけたらと思います。

「神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond」展示風景より、髙橋匡太《ひかりの実 in SIKIガーデン》 撮影:高嶋清俊
「神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond」展示風景より、竹中美幸《Tiny Shadows》 撮影:高嶋清俊

──今回初めて神戸六甲ミーツ・アートに足を運ぶ人に向けて、注目ポイントをあらためてお願いいたします。

 芸術祭なので作品展示はもちろんですが、六甲山そのものも楽しめます。時間をゆったり使って自然を楽しんでもらえるとより豊かな体験になるのではないでしょうか。少しハードルが高いかもしれませんが、霧が濃いときや雨のときの森はとてもいいです。人も少ないので回りやすいのと、雨が木の葉に落ちる音などにも耳を澄ませてほしい。自然とともにある芸術の姿という意味ではおすすめしたいところです。アーティストたちも自然と格闘しているので、そういったところも垣間見えると思いますよ。

編集部

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