「神戸六甲ミーツ・アート」が築いてきたものとは? 総合ディレクター・高見澤清隆インタビュー【2/3ページ】

「神戸六甲ミーツ・アート」の特色とは?

──神戸六甲ミーツ・アートも新たなフェーズに入ってきているんですね。2023年からは「六甲」が「神戸六甲」になりましたが、「beyond」というワードが芸術祭名に追加され、さらに2024年からはどのように変化していくのでしょうか?

 「神戸六甲ミーツ・アートはどのような芸術祭なのか?ほかの芸術祭と何が違うのか?」。そう自問自答しました。その結果、「現代アートの正解を示さない」ことにしたんです。この芸術祭はあえてターゲット層の幅も広く設定しており、会場で自分に響くアーティストを見つけてもらうことにしています。美術館の展覧会には基本的に明確なテーマがあり、それに従ってアーティストが選ばれ作品が構成されますが、神戸六甲ミーツ・アートは多様な表現の展観を重視しています。

──毎年取材をしていますが、23〜24年は現代アートがより色濃くなったと感じました。そのあたりは何か意識されたのでしょうか?

 会場が六甲山の観光施設から施設外へと次第に広がってきたので、その施設にとらわれないコンセプトを持てるような作家を選定しています。また、いままでお呼びしたかったアーティストがたまたま惑星直列のように集まってきたというのもありますね。加えて、今年は外部キュレーターとして堀江紀子さんや池田佳穂さん、小國陽佑さん、P3 art and environment という方々に入っていただいていましたので、そこからの推薦というのもありました。

 神戸六甲ミーツ・アートはストリート的なイベントなので、様々な属性の方が作品を見ることができる。それは言い換えれば、見たくなくても見れてしまうということです。そういった点についても話し合ったうえで、作家の招聘をしています。

「神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond」展示風景より、布施琳太郎《ニューノーモン:新たな大地のための日時計》 撮影=編集部
「神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond」展示風景より、西野達《自分の顔も思い出せやしない》 撮影=編集部

──神戸六甲ミーツ・アートの特色、ほかの芸術祭との差別化についてどのように考えられていますか?

 六甲山は芸術祭以外にも、自然やレジャーを楽しむ色々な利用者層がいます。そういった方々も取り込んでいけるようなベクトルを追求していきたいですね。私自身もトレイルルートを歩いてリサーチしてると、知らなかった六甲山の姿に気づくことも多いです。そういった意味ではアートファンだけでなく、インバウンドを含め観光やレジャーで来山される方──ハイカーやランナー、サイクリスト、写真愛好家、野鳥や植物マニアなど──にも広く視線を向けることができる点がほかの芸術祭とは異なる部分であり、今後も様々なトライアルを続けていきたいですね。

編集部

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