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芸術祭をもっと楽しむために知っておきたい4つのポイント

日本各地で開催されている芸術祭。訪れる際に気をつけたいことや、必要な持ち物、知っていればより楽しめることなどをまとめた。

文=浦島茂世

越後妻有里山現代美術館 MonET 展示風景より、原倫太郎+原游による《阿弥陀渡り》 撮影=編集部

 日本全国の芸術祭ブームの先駆けとなった「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」がスタートしてから4半世紀弱が過ぎた。子供のころに親とともに訪れた芸術祭に、アーティストとして参加する人も増えてきているという。

 芸術祭は、何度訪れても新しい発見がある。例えば「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」で公開されているイリヤ&エミリア・カバコフ《棚田》。この作品は大地の芸術祭がスタートした2000年から現在にいたるまで継続した人気を集める作品だが、農作業をする人々の姿が作家の出身地であるウクライナ国旗の青と黄色であることは、ロシアとの戦争が勃発するまで私は気づけなかった。作品は変わらずそこにあるのに、鑑賞者によって新たな意味が見出されるわけだ。このように、美術作品は見る人の環境や社会情勢によって、見え方が大きく変わってくる。その「変わる」という体験のためには、作品を何度も見る必要があるのだ。

  そのときにしか見ることができない作品も、もちろんある。国際芸術祭「あいち2022」の一宮市「のこぎり二」で展示されていた塩田千春の《糸をたどって》は、会期終了とともに撤去された。

「あいち2022」展示風景より、塩田千春《糸をたどって》(2022) 撮影=浦島茂世

 また、2021年に設置された山本基《記憶への回廊》は、「奥能登国際芸術祭2022」でも展示されていたが、2024年1月の能登半島地震によって作品が倒壊してしまっている。

「奥能登国際芸術祭2022」展示風景より、山本基《記憶への回廊》(2021) 撮影=浦島茂世

 このように、芸術祭の作品は見たいときに見ておかないと、永遠に見ることができないこともある。芸術祭に行き、実際にそこにあった作品を観賞することで、そのときはわからないけれど、あとから見えてくるものもたくさんあるはず。何度も芸術祭を訪れている人にとっても、はじめて芸術祭を訪れる人にとっても、きっと役に立つ情報を「持っていくと便利なもの」「インストールしておいたほうがいいアプリ」「会場をめぐるときの心がけ」「会場以外の楽しみ」の4つのポイントを紹介するので、ぜひ参考にして欲しい。

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