アーティストはスポンジのようなもの
──本展のように、アート以外の分野とコラボレーションすることの意義を、どう考えていますか。
私は学生時代、オラファー・エリアソンのもとで学びました。そこで得たのは、建築、化学、宇宙物理学など「科学のレンズ」を通して、世界のありようを見ていく視点です。それが自分の視野をぐっと広げてくれました。
私は、アーティストはスポンジのようなものだ、と考えています。万華鏡のように多様な視点をアート界の外から取り込み、それを吸収し、作品としてまた世界に何かを還元するのです。
そうした循環が大切だと思うので、意識的にアートの世界を超えた人たちとのコラボレーションをしています。様々な視点から、現実の世界がどう構築されているかを見ていくわけです。そこで得た知見をすべてスポンジのように吸収し、自分の中から出てくるものを作品として昇華させているのです。
──今回のルイナールとのコラボレーションは、満足いくものになったでしょうか。
5年間に及ぶプロジェクトとなりましたが、全体がすばらしい旅でした。ランスを訪ね地表の下に眠っている海の記憶と出合い、私が探求してきたのと響き合うテーマを見出し、それを深めていくことができたのですから、満足しています。ランスにあるルイナールのクレイエールに、私の作品が常設展示されることとなったのもうれしいことです。
日本での展示は、この旅の終着点です。2ヶ所同時にこれだけのスケールで作品をお見せできることに、アーティストとして無上の喜びを感じています。ぜひ実際に作品を体験していただきたいです。

──ちなみにルイナールのシャンパンの味わいも、気に入っている?
私の祖父と叔父がスイスでワインづくりをしているので、私はワインにはうるさいんですよ(笑)。ルイナールのブラン・ド・ブランは軽やかでミネラル感があり、海の香りもします。味わうと古代の海が眼前に現れるように感じれます。



















