定期的な意見交換の場に加え、一度は合宿も行われた。YAU STUDIOに生まれるコミュニティとの共通点や、そもそも「表現する」とはどういうことなのかというリサーチをするために、滋賀県に向かい、アートセンター&福祉施設「やまなみ工房」と、京都府との境に位置するシェアスタジオ「山中Suplex」を訪れた。松井は次のように話す。
「滋賀県の両施設もYAUも、誰もがこだわって何かをつくっているという意味では、その感覚はほとんど変わらないものではないかと感じました。プロのアーティストかどうかというのは関係ないですし、つくることで何かを見つけ、それがまた次の創作のモチベーションになっていくような感覚といいますか。今回の成果展『標本物語』も、すごく変な展示空間になったと思うんですが、それが一番嬉しいです。全然統一感がなく、それぞれの欲望が滲み出た展示になっている。固定観念や規定の価値基準で測るのではなく、その人の欲望とたしかに結びついた表現になっているかどうかで判断できるアートというのは、そこから双方向性や対話も生まれると思うので、非常に力があると感じています」。
松井自身もまた、このプロジェクトから誘発され、『標本物語』と題する小編を創作した。
「参加者の皆さんがというか、都市に暮らしているとどうしてもストレスが溜まりますよね。仕事などの日常で感じたストレスを、こうしたアート活動を通して逃がしているのではないかと感じました。電気を逃がすためのアースじゃないですけど、自分にかかった圧を、創作を通して抜いているような。それが発端となって、作品づくりにハマりだすというのはすごく健全な行為だと言えるのではないでしょうか」。





















