YAUが掘り起こす街の創造力。「アートアーバニズム」の未来を見据えて【4/8ページ】

 「サバイバル退勤」という体験型の展示にしたのは、機関投資家のサム。外出中は「いま地震が起きたらどこに逃げ込むか」を考えがちだというサムは、「大丸有エリアのオフィス」「午後4時」「富士山が噴火」「お家に帰ろう」「あたなは何を持ち出しますか」という強迫観念のような不安のようなものを作品化した。

YAU OPEN STUDIO’25より、「大丸有標本室」の「サバイバル退勤」

 普段は銀行に勤務する山本祐輔は、三越百貨店のライオン像や秋葉原・万世橋のかつて彫像が立っていた場所にそびえる11メートルの鉄柱など、公共空間で目にする「銅像」の誕生経緯などをリサーチ。動画とレクチャーで成果発表を行うパフォーマンスとしてかたちにした。作品を制作して発表するという、普段の会社員生活と離れた非日常体験についてこう語る。

「銅像への興味を自分の中で掘り起こし、調べてことをかたちにする楽しみをここで味わいました。それを展示する機会を与えていただけたこともとても貴重でした。毎日のルーティンに変化が加わり、自分はこういうリサーチをして作品を制作するのが好きなんだと発見できたことは大きかったです。月に1度はほかの参加者と意見交換をする機会もあったので、それも大きな刺激になりました」。

YAU OPEN STUDIO’25より、「大丸有標本室」の「世にも奇妙なモニュメント」

編集部