YAUが掘り起こす街の創造力。「アートアーバニズム」の未来を見据えて【2/8ページ】

 YAUの立ち上げ当初から企画と運営に携わるTOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCHディレクターで、フォトグラファーの小山泰介は、「YAUを立ち上げる前にアーティスト目線でこの街がどう見えるのかをリサーチしたところ、アートとは無縁で、アートに対してドアが閉ざされた街」だと感じたという。

「有楽町ビルにYAU STUDIOを設置する際には、『どんな人でもとりあえず居ていいスペース』を目指しました。何かをつくらなければいけないという以前に、アーティストやアートマネージャーたちがとりあえず居ることができて、空間をシェアできる場所をつくろうとしました。そこを拠点に地域の企業との接点を求めていくと、じつはドアは閉ざされていなくて、普段アーティストと話す機会がないオフィスの人たちも話したいことがいろいろあり、アートに対して興味をもっていることが感じられました。うまくアプローチすれば、オフィスワーカーとショッピングの街にもアートを介入させていくことができるのだと、YAUの活動を通して感じました」。

YAU OPEN STUDIO '25より、TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCHの展示
YAU OPEN STUDIO’25より、YAU ⇔ サッポロ・パラレル・ミュージアム 坂本敦の展示

  アトリエやリハーサルスタジオがあれば、アーティストや演出家、役者などが集まるはずだ。そう考えて設置したYAU STUDIOでは、アーティストたちに都心のオフィスビルで制作をする場を提供し、そこから街との化学反応によるイノベーションの創出を目指すべく、ジャンルも手法も様々な表現者たちを公募した。

編集部