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平成の美術から大山エンリコイサム、落合多武まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週スタートした展覧会と終了する展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。なお緊急事態宣言のため、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019」展示風景

平成の美術とは何だったのか。「平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019」(京都市京セラ美術館)

「平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019」展示風景

 1980年代後半から活動を続ける美術批評家・椹木野衣を監修に迎えて、平成年間(1989~2019)の日本の現代美術を総括する、初めての大規模展だ。

 紹介されるのは、Complesso Plastico、IDEAL COPY、DIVINA COMMEDIAといった関西ニューウェーブを担ったグループや、飴屋法水を中心とするテクノクラート。そして、村上隆率いるカイカイキキが主催した大規模プロジェクト「GEISAI」や、東北芸術工科大学の三瀬夏之介と鴻崎正武が学生と研究・制作を行う「東北画は可能か?」、Chim↑Pom、contact Gonzo、DOMMUNE。さらに梅津庸一が立ち上げたパープルームや、クシノテラス、人工知能美学芸術研究会に加え、15年に武蔵野美術大学と朝鮮大学校の学生によって開催された「突然、目の前がひらけて」、國府理「水中エンジン」再制作プロジェクトなどまで多岐に渡る。

 会場では、14のアーティストグループ・集合体の代表作を大きく3つの時代で区分して紹介。点在する「方丈」の庵のような作品群やブースが、それらを回遊するような「界隈(ストリート)」でつながれ、平成の時空を縦横に行き来しながら鑑賞が可能、また、松本弦人デザインの幅約15メートルにおよぶ「平成の大年表」も登場する。

会期:2021年1月23日~4月11日
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334
開館時間:10:00〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし祝日の場合は開館)
料金:一般 2000円 / 大学・専門学校生 1500円 / 高校生1000円 / 小・中学生 500円 / 未就学児無料 

過去最大級の個展で作家の思考を探る。大山エンリコイサム「夜光雲」(神奈川県民ホールギャラリー)

大山エンリコイサム「夜光雲」展示風景

 エアロゾル・ライティング(グラフィティ)から文字を取り除き、描線のみを抽出した「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」をモチーフとするアーティスト・大山エンリコイサムの過去最大級の個展「夜光雲」が1月23日まで開催中だ。

 大山は、中二階が存在する巨大な神奈川県民ホールギャラリーの第5展示室で、空間全体を絵画インスタレーションとして提示。エアロゾルによる作品が明かりで照らされた空間に漂い、氷の結晶が太陽光を反射し夜に発光する、本展タイトルとなった現象「夜光雲」を想起させる。

 絵画のほかにも、巨大な立体作品や音響作品など多様な作品が並ぶ。ペインティングとは異なる作品に見えるが、絵画と共通する身体性がそれらの作品には通底する。大山は本展について次のように語っている。​「自分はストリート的な文脈で語られることがありますが、カテゴリでとらえられるのでなく、思考の全体性を知ってもらいたい。深い部分で作品を味わってもらいたいです」。

会期:2020年12月14日〜2021年1月23日
会場:神奈川県民ホールギャラリー
住所:神奈川県横浜市中区山下町3-1
電話番号:045-662-5901
開館時間:11:00〜18:00 ※最終入場は閉館の30分前まで
料金:一般 800円 / 学生・65歳以上 500円 / 高校生以下無料

見るものと見られるものの交差。落合多武「輝板膜タペータム」(銀座メゾンエルメス フォーラム)

落合多武「輝板膜タペータム」展示風景

 ドローイングやペインティング、彫刻、映像、パフォーマンスなど、多様な形態で作品を展開してきた落合多武。その個展「輝板膜タペータム」が、銀座メゾンエルメス フォーラムで開幕した。

 落合多武は1967年生まれで、現在ニューヨーク在住。複数の時間や流動的な思考が含まれる作品には、ひとつの概念がかたちをなしては解体され、また次の思考へと結びついていくプロセスを見ることができる。主な個展に「旅行程、ノン?」(小山登美夫ギャラリー、2019)、「Tarragon, Like a Cat’s Belly」(Team Gallery、ニューヨーク、2017)、「スパイと失敗とその登場について」(ワタリウム美術館、2010)など。本展では、4半世紀にわたる落合の作家活動を通して制作された「M.O.」「Everyone Has Two Places」「ashtray sculpture(灰皿彫刻)」「Itinerary, non?」「Chopin ,Op.97(ショパン、97分間)」などのシリーズを展示する。

 展覧会タイトルの「輝板膜タペータム」は、夜行性動物の眼球内にある「輝板(タペタム)」という構造物を参照した言葉だ。落合が本展に際して語った次の言葉、その意味を反芻しながら観覧してみてはいかがだろうか。「暗い場所で光を反射し続ける眼球は、見られるものに対して中間地点にいる」。

会期:2021年1月22日~4月11日
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 8階・9階
住所:東京都中央区銀座5-4-1
電話番号:03-3569-3300
開館時間:11:00~20:00(日~19:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:不定休(エルメス銀座店の営業に準ずる)
料金:無料

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