京都市京セラ美術館の新館「東山キューブ」で、1980年代後半から活動を続ける美術批評家・椹木野衣を監修に迎えた展覧会「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989-2019」が開催される。会期は2021年1月23日~4月11日。
「いま、不穏と呼ぶしかない令和の幕開けの渦中にあって、改めて31年あまりに及んだ平成の美術とは何であったのかについて、ここ京都の地から振り返ってみよう」と椹木は語る。本展では「うたかた」と「瓦礫(デブリ)」をキーワードに、経済的な停滞と未曾有の災害に繰り返し見舞われた平成の美術を振り返る。
会場では、14のアーティストグループ・集合体の代表作を大きく3つの時代で区分して紹介。点在する「方丈」の庵のような作品群やブースが、それらを回遊するような「界隈(ストリート)」でつながれ、平成の時空を縦横に行き来しながら鑑賞することができる。
1989~2001年からは、平野治朗と松蔭浩之が結成したComplesso Plastico、IDEAL COPY、DIVINA COMMEDIAなど関西ニューウェーブを担ったグループや、飴屋法水を中心とするテクノクラート、01~11年からは、村上隆率いるカイカイキキが主催した大規模プロジェクト「GEISAI」や、東北芸術工科大学の三瀬夏之介と鴻崎正武が学生と研究・制作を行う「東北画は可能か?」、そしてChim↑Pom、contact Gonzo、DOMMUNEを紹介する。
また11~19年からは、梅津庸一が立ち上げた共同体パープルームや、クシノテラス、人工知能美学芸術研究会に加え、15年に武蔵野美術大学と朝鮮大学校の学生によって開催された「突然、目の前がひらけて」、國府理「水中エンジン」再制作プロジェクトなどが展示を行う。
これらの作品や資料展示に加え、松本弦人デザインの幅約15メートルにおよぶ「平成の大年表」も登場。社会的事件や経済的事象、自然災害などを含みこんだ揺れる大地のうえで、美術がどのような変遷をたどってきたかを、集合的アーティストの活動を中心に振り返る。
平成年間(1989~2019)の日本の現代美術を総括する、初めての大規模展となる本展。複数の美術家たちによる「密」な集合的活動の集積からは、どのような「平成の美術」の姿が描き出されるのだろうか。