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浮世絵の名品からオラファー・エリアソン、落合陽一にゴッホまで。この夏見たい首都圏の展覧会10選

7月23日から始まる連休を前に、この夏に見ておきたい10の展覧会をピックアップしてお届けする。新型コロナウイルス対策を万全にして楽しんでほしい。

「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」出展作品より、オラファー・エリアソン《ビューティー》(1993) Installation view: Moderna Museet, Stockholm 2015 Photo by Anders Sune Berg Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 1993 Olafur Elia

国内版画コレクションの粋が一堂に。特別展「The UKIYO-E 2020 ─ 日本三大浮世絵コレクション」(東京都美術館)

展示風景より、葛飾北斎《富嶽三十六景 甲州石班沢》(1830〜33頃)

 江戸時代の庶民たちに愛好され、日本を代表する芸術の一ジャンルとなった浮世絵。その人気は日本にとどまらず、欧米のアーティストたちに大きな影響を与え、ジャポニスム旋風を巻き起こしたことはよく知られている。

 同展は、太田記念美術館、日本浮世絵博物館、平木浮世絵財団が所蔵する日本が誇る名品が初めて結集する展覧会だ。葛飾北斎の「冨嶽三十六景」、歌川広重の「東海道五拾三次」を通期で展示するほか、浮世絵の祖・菱川師宣から、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川国芳まで、浮世絵の歴史を網羅する総勢約60名の絵師たちの代表作を一挙に紹介する。

会期:[前期] 2020年7月23日〜8月23日、[後期] 8月25日〜9月22日
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
開館時間:9:30~17:30
休館日:8月17日、24日、9月7日、14日
前売日時指定券:一般 1600円 / 大学・専門学校生 1300円 / 高校生 800円

10年ぶりの大規模個展とともに「おさなごころ」を思い出す。「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」「おさなごころを、きみに」(東京都現代美術館)

「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」出展作品より、オラファー・エリアソン《ビューティー》(1993) Installation view: Moderna Museet, Stockholm 2015 Photo by Anders Sune Berg Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 1993 Olafur Eliasson
「おさなごころを、きみに」展示風景より、手前は名和晃平《PixCell-Bambi #3》(2014) 東京都現代美術館蔵

 人間の知覚を問うインスタレーションや、環境問題についてのプロジェクトで知られるオラファー・エリアソン。その再生可能エネルギーへの関心と、気候変動への働きかけを軸に構成される展覧会が「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」だ。

 植物や木を用いたインスタレーション、光と幾何学に対する長年の関心が反映された彫刻、写真のシリーズ、公共空間への介入をめぐる作品など、その多くが日本初公開となる作品が一堂に会する。

 なお東京都現代美術館では、誰もが持つ「おさなごころ」を体験的に問い直すことを目的に企画された展覧会「おさなごころを、きみに」も開催中だ。

 「身体と触覚」「音と言葉」「忘却」「銀河」をテーマとした空間で構成される同展は、メディアテクノロジーによる作品や映像を通し、大人が忘れてしまったクリエイティブな「おさなごころ」を思い起こしながら、大人もこどもも楽しめる展示となっている。

オラファー・エリアソン ときに川は橋となる
会期:2020年6月9日~9月27日
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし8月10日、9月21日は開館)、8月11日、9月23日 
前売日時指定券:一般 1400円 / 大学・専門学校生・65歳以上 1000円 / 中高校生 500円 / 小学生以下無料

おさなごころを、きみに
会期:2020年7月18日〜9月27日
料金:一般 1300円 / 大学生・65歳以上 1000円 / 中学・高校生 800円 / 小学生以下無料

新たな常設展示室とともに見たい企画展。「帰ってきた!どうぶつ大行進」(千葉市美術館)

「帰ってきた!どうぶつ大行進」展示風景より

 7月11日にリニューアルオープンした千葉市美術館で開催中の企画展「帰ってきた!どうぶつ大行進」。

 千葉市美術館の1万点を超えるコレクションのなかから、動物表現をテーマにした作品約230点を紹介する。2012年に同館で開催された「どうぶつ大行進」のバージョンアップながら、作品を150点以上加えて再構成。尾形光琳、鈴木其一、俵屋宗達、伊藤若冲といった日本美術の巨匠たちの作品に加え、新たなコレクション作品や、約30点の初公開作品も含まれている。

 また、リニューアルに伴い、新たに千葉市美術館に設置された常設展示室では「1945年以降の現代美術 特集 草間彌生」として、同館の1950年代〜90年代にかけての草間コレクションも展示されている。その軌跡を各年代の作品からたどることができるので、こちらも併せて楽しみたい。

会期:2020年7月11日〜9月6日
会場:千葉市美術館
住所:千葉県千葉市中央区中央3-10-8
電話番号:043-221-2311
開館時間:10:00〜18:00 (金・土は〜20:00)
休館日:7月20日、8月3日、17日
料金:一般 800円 / 大学生500円 / 小中高生無料

日本の枠を超え世界で評価されるアーティストたち。「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」(森美術館)

展示風景より、村上隆のセクション (C) 2020 Takashi Murakami / Kaikai kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

 新型コロナウイルスの影響で臨時休館していた森美術館が、7月31日に再開。再開と同時に行われるのが、「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」だ。日本の枠を飛び越え、世界で評価されるアーティストとして、草間彌生、杉本博司、奈良美智、宮島達男、村上隆、李禹煥(リー・ウーファン)が参加。その初期作品と最新作が一堂に会する展覧会となる。

 それぞれのアーティストたちの実践が世界からどのように評価されてきたのかを探求する。さらに1950年代から今日まで、海外で開催された主要な日本現代美術展に関する資料も展示。各時代の評価軸や系譜を検証する。

会期:2020年7月31日~2021年1月3日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~22:00(火〜17:00)※最終入館はそれぞれ閉館30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 2000円 / 65歳以上 1700円 / 大学・高校生 1300円 / 4歳~中学生 700円

工芸の新時代を担う気鋭の作家が集結。「特別企画 和巧絶佳展 令和時代の超工芸」(パナソニック汐留美術館)

展示風景より、舘鼻則孝の作品群

 日本の美意識に根ざしながら、工芸的なアプローチで作品を制作する1970年以降生まれの作家を紹介。

 ポップな色彩の陶芸作品を手がける桑田卓郎、「ヒールレスシューズ」で知られる舘鼻則孝、アクリル絵具と透明樹脂を用いて立体的に金魚を描く深堀隆介、サブカルチャーの要素を螺鈿など漆の伝統技法で表現する池田晃将ら、いまもっとも注目を集める12名の作家が集まった。参加者のほとんどが今回のために新作を制作し、現代の「超工芸」が集結する。

 現在の日本の新しい兆候を示すだけでなく、これまで受け継がれてきた日本の手仕事の可能性を考えることができる貴重な機会になるはずだ。

会期:2020年7月18日~9月22日
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
電話:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(7月24日、7月31日、8月7日、8月28日、9月4日〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:7月22日、8月12日~14日、8月19日、9月9日、9月16日
料金:一般 1000円 / 65歳以上 900円 / 大学生 700円 / 中学・高校生 500円 / 小学生以下無料

イギリスを代表する画家の日本初個展。「ピーター・ドイグ展」(東京国立近代美術館)

東京国立近代美術館「ピーター・ドイグ展」展示風景より 写真=木奥惠三

 イギリスを代表するアーティストのひとり、ピーター・ドイグ。ゴーギャン、ゴッホ、マティス、ムンクといった近代画家の作品の構図やモチーフ、映画のワンシーンや広告グラフィック、自らが暮らしたカナダやトリニダード・トバゴの風景など、多様なイメージを組み合わせた絵画を制作するピーター・ドイグの日本初個展。

 その絵画は、同世代、そして後続世代のアーティストに多大な影響を与え、ドイグは過去の巨匠になぞらえて、しばしば「画家の中の画家」と評されている。ドイグの初期作から最新作までを観ることができる大規模な展覧会だ。

会期:2020年6月12日~10月11日
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~17:00(8月1日以降、金土〜20:00)※入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし8月10日、9月21日は開館)、8月11日、9月23日
料金:⼀般 1700円 / 大学生 1100円 / 高校生 600円 / 中学生以下無料 ※日時指定チケットを導入。詳細は公式ウェブサイトまで。

所蔵品と現代作家の作品で生活のなかの美を考える。「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」(サントリー美術館)

「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」展示風景より、奥が《賀茂競馬図屛風》(17世紀、部分)、手前が野口哲哉《THE MET》(2020)ほか

 サントリー美術館収蔵品と現代作家による「生活のなかの美」をテーマとした展覧会「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」が開催中だ。

 これまで「生活のなかの美」を基本理念に展示・収集を行ってきたサントリー美術館。これらの収蔵品のなかから、酒宴で用いられた丁度や、「ハレ」の場のための着物や装飾品、化粧道具、異国趣味の意匠を施した品など、生活を彩ってきた優品を紹介する。

 さらに、古美術に造詣の深い現代作家である山口晃、若宮隆志(彦十蒔絵)、山本太郎、野口哲哉の作品も織り交ぜることで、現代の感性と通じる部分を探すこともできる展覧会だ。

会期:2020年7月22日〜9月13日(会期中展示替えあり)
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンサイド
電話番号:03-3479-8600
開館時間:10:00〜18:00(金、土〜20:00)※入館は閉館30分前まで ※来館にあたっての注意事項を要確認
休館日:火
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料

新たな美術館でゴッホや東郷青児を再発見。「珠玉のコレクション─いのちの輝き・つくる喜び」(SOMPO美術館)

「珠玉のコレクション─いのちの輝き・つくる喜び」第6章展示風景より、フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》(1888)

 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館が、敷地内に移転し、7月9日にSOMPO美術館として開館。開館記念展「珠玉のコレクション─いのちの輝き・つくる喜び」(日時指定入場制)が開催中だ。

 同展で大きく紹介されているのは、自然を愛した日本画家・山口華楊の大作や、同館開館のきっかけとなった東郷青児の作品、グランマ・モーゼスやモーリス・ユトリロ、ポール・ゴーギャンら、19世紀後半から20世紀にかけて描かれた欧米の風景画などだ。さらに、同館が2012年度から行っている新進作家顕彰事業「FACE」のグランプリおよび優秀賞を受賞作家も紹介される。

 また、修復作業を経たルノワールの《浴女》(1892〜93)や、同館コレクションを代表するゴッホの《ひまわり》も展示の目玉となっている。

会期:2020年7月10日〜9月4日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし8月10日は開館)
料金:一般 1000円 / 大学生 700円 / 高校生以下無料
※日時指定入場制。入館にはマスク着用と検温が必要。

コロナの時代のその先を見る芸術祭。「ヨコハマトリエンナーレ2020」(横浜美術館、プロット48ほか)

展示風景より、ニック・ケイヴ《回転する森》(2016/2020)

 国内外から67組のアーティストが参加する「ヨコハマトリエンナーレ2020」。今回は「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」をテーマとして、横浜美術館とプロット48を中心に作品が展示されている。

 今回のアーティスティック・ディレクターは、3名のインド人アーティスト集団「ラクス・メディア・コレクティヴ」。 新型コロナウイルスの影響を受けながら開催の準備を進め、コンセプトを深めるための「ソース」と呼ばれる5つのテキストからトリエンナーレをつくりあげた。

 イヴァナ・フランケ《予期せぬ共鳴》(2020)、エントランスのニック・ケイヴによる《回転する森》(2016/2020)などダイナミックな作品をはじめ、竹村京、飯山由貴、陳哲(チェン・ズ)、ローザ・バルバ、エヴァ・ファブレガス、青野文昭などが作品を展示。また、プロット48では、エレナ・ノックスのインスタレーションをはじめ、性を様々な観点で切り取った作品や、参加者同士の協力が不可欠な飯川雄大の作品(要事前予約)などを見ることができる。

 新たな時代にアートはいかなることが実現でき、その先に何を見据えるのか。考えるきっかけとなるはずだ。

会期:2020年7月17日〜10月11日
会場:横浜美術館、プロット48
開場時間:10:00〜18:00(10月2、3、8、9、10日 〜21:00、11日 〜20:00)
休場日:木(7月23日、8月13日、10月8日は開館)
料金:一般 2000円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円
※横浜美術館への入場は日時指定が必要。プロット48は横浜美術館と同日に限り自由に入場が可能

落合陽一の4年間の活動を俯瞰。「未知への追憶 -イメージと物質||計算機と自然||質量への憧憬-」(渋谷モディ)

「未知への追憶 -イメージと物質||計算機と自然||質量への憧憬-」展示風景より

 メディアアーティスト・落合陽一の2017年から20年までの活動を俯瞰する個展が、東京の渋谷モディで開催される。

 本展は、写真や立体物、映像を通じて、落合の持つ新しい自然観と老荘思想との接続、バーチャルとの邂逅、民藝との接近にいたる背景を読み解きながら鑑賞できるもの。平面・立体・メディアアートを含む40点以上の作品が出展される。

 活動のなかで、探し、吟味し、新しい文脈を練り上げることで「未知をめざす喜びや感動」を体験へと変換する落合。本展では、過去作品の再構成、研究や社会活動としての膨大な活動を、スナップ写真として切り出し、作品として昇華させることを目指す。

会期:2020年7月23日〜8月31日
会場:渋谷モディ
住所:東京都渋谷区神南1-21-3 渋谷モディ2階
開場時間:11:00〜20:00
休館日:会期中無休
料金:一般 1800円 / 大学生以下無料

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