INSIGHT - 2018.12.26

2018年のアートシーンをプレイバック!(4〜6月編)

様々なトピックスがあった2018年のアートシーン。美術手帖で取り上げたなかから、とくに振り返っておきたい出来事を4回に分けてお届けする。今回は4〜6月編。

文化庁が作成した「アート市場の活性化に向けて」より抜粋

4月

・2017年4月の開業以来、GINZA SIXのアイコンとして人気を集めてきた草間彌生の巨大インスタレーション《南瓜》の展示が終了。4月2日より新たなアートとしてダニエル・ビュレンの新作が登場した(現在は展示終了)。《ムクドリの飛行のように—GINZA SIXにて》は、約9メートル×約19メートルという巨大なサイズで、ビュレンのトレードマークである8.7センチのストライプ模様を旗に用いており、赤と青の計1500枚の旗で構成された。

>>GINZA SIXに新たなアート。 ダニエル・ビュレンの大作が登場

・2018年3月31日をもって活動を終了した「BankART Studio NYK」の再オープンが決定。11月には新活動拠点として、「BankART Station」「BankART SILK」「BankART Home」の3ヶ所を運営することが発表された。

>>BankART、横浜市内で移転オープンへ

かつてのBankART Studio NYK

・荒木経惟に対し、長年「ミューズ」として作品モデルとなってきたダンサーのKaoRiが、あらゆる撮影に同意書が存在しなかったこと、荒木作品のために行ったパフォーマンスすべてが無報酬であったこと、ヌード撮影を強いられたことなどを告発した。

>>荒木経惟、長年のミューズからの 「#MeToo」

・長らくDIC川村記念美術館のコレクションとして親しまれてきた長谷川等伯筆の重要文化財《烏鷺図屏風(うろずびょうぶ)》を、前澤友作が収蔵したことを発表。「安土桃山から江戸初期の時代背景に思いを馳せながら、私流に作品を愛し解釈し、皆様ともこの素晴らしさをシェアしていきたいと思います」とコメントした。

>>前澤友作がDIC旧蔵の等伯の重文《烏鷺図屏風》を収蔵。一般公開も視野に

長谷川等伯 烏鷺図屏風 慶長10(1605)以降 紙本墨画 各154x354cm 重要文化財 Photo by YASUNARI KIKUMA

5月

・日本におけるメディアアートの先駆者とも言われ、前衛芸術グループ「実験工房」のメンバーとしても活動した山口勝弘が5月2日、敗血症のため90歳で逝去。なお、生前最後となった美術館個展「横浜wo発掘suru vol.5 山口勝弘展—水の変容」展(2014年)の企画に携わった学芸員のひとり、佐藤直子(横浜市民ギャラリーあざみ野)は「画像を選びながら4年前の展覧会のことや、半年前に先生にお会いしたことなど思い出し、寂しい気持ちですが、晩年も旺盛だった創作意欲の一片を当館での展覧会を通じて記録と記憶に残し、あらためて皆さんにお伝えする一助となることができて光栄です」とのコメントを寄せた。

>>メディアアートの先駆者・山口勝弘が90歳で逝去

・故デイヴィッド・ロックフェラーとペギーよる美術品コレクションのオークションシリーズがクリスティーズで開催。個人コレクションとして史上最高額となる落札総額8億3257万3469ドル(約907.5億円)、落札率100パーセントの快挙を達成した。これはチャリティ・オークションとしても史上最大規模となる(1ドル=109円換算)。

>>落札総額約907.5億円。 ロックフェラーコレクションが 個人コレクションとして史上最高額を更新

ロックフェラーコレクションのオークション会場風景 © VISKO HATFIELD.

・国内の美術館や博物館の一部を「リーディング・ミュージアム(先進美術館)」として指定し、価値付けした作品をオークションなどで売却するという政府案が、5月19日に「YOMIURI ONLINE」で報道。文化庁はこれを否定するも、美術関係者を中心に大きな非難の声が巻き起こった。

>>政府案の「リーディング・ミュージアム(先進美術館)」とは何か? 文化庁「確定事項は何もなく検討中」

・アメリカン・ポップ・アートの代表作家のひとり、ロバート・インディアナ(本名:ロバート・クラーク)が現地時間5月19日に逝去した。享年89歳。インディアナはアメリカ社会の実像を描くことを使命に、自身の出身州「インディアナ」をアーティスト名として使用。初期作品では交通標識や会社のロゴなどを取り入れ、アメリカを象徴する言葉や数字、記号を使った絵画を制作、66年からは彫刻の代表シリーズ「LOVE」の制作をスタートさせた。

>>「LOVE」を残したアーティスト。ロバート・インディアナが89歳で逝去

東京・新宿アイランドタワーの正面入り口にある《LOVE》

6月

・ポーラ美術館とアメリカのワシントン・ナショナル・ギャラリー、カナダのアートギャラリー・オブ・オンタリオが共同調査を行い、ポーラ美術館所蔵が所蔵するパブロ・ピカソの「青の時代」を代表する作品《海辺の母子像》(1902)の下層部に「新聞紙」が貼付されていることを発見した。

>>ポーラ美術館所蔵のピカソの代表作に新発見。火星探査でも用いられる最先端技術調査で発覚した新事実とは?

パブロ・ピカソ 海辺の母子像 1902 ポーラ美術館蔵

・第58回ヴェネチア・ビエンナーレの日本館代表作家とキュレーターが発表。作家は下道基行、安野太郎、石倉敏明、能作文徳の4名で、キュレーターは服部浩之が務めることが明らかにされた。日本館のテーマは「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」で、地球規模の長い時間や空間の広がり、そして人と地球や土地との関わり方に思いをめぐらせ、考える場を築くことを目的とする。

>>第58回ヴェネチア・ビエンナーレ、日本館代表作家は下道基行、安野太郎、石倉敏明、能作文徳に決定。キュレーターは服部浩之

左から能作文徳、安野太郎、下道基行、服部浩之

・日本全国にある389の国公私立美術館が加盟する「全国美術館会議」が、「美術館と美術市場との関係について」と題した声明を発表。政府案「先進美術館」構想に反対を示すものとして「美術館が自ら直接的に市場への関与を目的とした活動を行うべきではない」といった文言が盛り込まれた。

>>全国美術館会議が「美術館と美術市場との関係について」声明を発表。「美術館は市場関与目的の活動をすべきでない」

・6月18日、大阪北部を震源とする最大震度6弱の地震が発生。安藤忠雄建築として世界的に知られる「光の教会」、寺院「妙喜庵」の茶室《待庵》などが被害を受けた。また国立民族学博物館では《ゾウの仮面》など21点が被災した。

>>国宝《待庵》など国の文化財58件に被害。大阪北部地震で安藤忠雄の代表作「光の教会」も破損