EXHIBITIONS

プラチャヤ・ピントン「The Heat of the Empty Forward」

SCAI PIRAMIDE
2025.02.15 - 04.26

©️プラチャヤ・ピントン

 SCAI PIRAMIDEで、プラチャヤ・ピントンによる個展「The Heat of the Empty Forward」が開催されている。

 プラチャヤ・ピントンは1974年タイ生まれ。本展に寄せて、キュレーターのデビッド・テは次のように述べている。

「日本で開催される初の個展に際して、ピントンは日本の軽工業に興味を抱いた。鏡作品と同じ金属を使用し、兵庫県姫路市にあるゴルフクラブ製造工場との実験的なコラボレーションを試みた。製造段階で加工される金属形状を使用し、展示空間に繊細なフレームを設置する。いっぽう鏡の作品には、トーマス・エジソンが1879年に綿をフィラメントとして使用し発明したエジソン電球で照らされている。綿花(コットン)は、爆弾の同胞に成りうるものだ。そして、米やほかの食物を耕作する際の一般的な間作作物であり、ラオスやメコン地域の大部分では家族規模で栽培されている。衰退の一途をたどる我々の炭素文明のシンボルのように、鏡のあいだに不安定に取り付けられたこれらの壊れやすい電球は、儚い熱を放ちつつ、日本では馴染み深い昆虫であり、秋の季語でもある鈴虫の脈打つ歌声に連動している。

(中略)

 アジアにおけるアートの近代性は、工芸との分離の仮定に成り立っているとは言いがたい。ピントンの実践する農業従事者、科学者、あるいは地方企業とのコラボレーションは、彼らの実用に向けられた知性と、明らかに非本質主義的な芸術への理解に対する敬愛の意を現している。おそらくそれが、彼の詩的な力が古くからの技術に新たな意味や応用をもたらし、芸術作品そのものを新たな予期せぬ目的、そしてついには示唆に富んだ逸脱へと導くことができる理由なのかもしれない」(展覧会ウェブサイトより)。