「バンコク・アート・ビエンナーレ2020」の参加アーティスト、タイの反政府デモに支援声明を発表

10月29日よりタイ・バンコクで開催される「バンコク・アート・ビエンナーレ2020」の参加アーティストたちが、現在バンコクを中心に拡大している反政府デモに対する支援声明を発表した。

10月に起きたデモの様子 出典=Khaosod EnglishのFacebookページ(https://www.facebook.com/KhaosodEnglish/photos/pcb.3738714786147426/3738712049481033/)

 7月以降、学生を主体に首相の退陣や王室の改革を求める大規模なデモが続いているタイ・バンコク。そこで10月29日より開催を予定されている「バンコク・アート・ビエンナーレ2020」の参加アーティストたちが、デモに対する支援声明を発表した。

 この声明には、アイ・ウェイウェイ、アニッシュ・カプーア、ディン・Q・レ、ホー・ルイ・アン、照屋勇賢など25人のアーティストが名前を連ねており、今回のデモについて次のような懸念を表明している。

 「バンコク・アート・ビエンナーレ2020に参加するアーティストとして、この数日間、バンコクで開催された民主化要求デモの参加者に対してなされた行為を深く憂慮しています。平和的なデモ参加者に向けて公然と警察力が行使され、放水砲まで使用されたことに、今月末のビエンナーレ開催に向けて準備を続けていた私たちは打ちひしがれています。デモの主要なリーダーたちや活動家たちが逮捕されていることも、私たちの懸念を強くしています。これら多くの出来事が、ビエンナーレのメイン会場であるバンコク・アート・アンド・カルチャー・センター(BACC)の建つパトゥムワン交差点で起きたことも、私たちのこの声明をより緊急かつ必要不可欠なものにしています」。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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 こうした政府による暴力的な圧制に対し、これらのアーティストはそのすみやかな停止を求めながら、デモ参加者たちの民主主義を求める抵抗への支援を表明。「私たちは、アートが民主主義社会の公共圏の重要な構成要素であるということも、ここに明言します。アートは、社会的な混乱と暴力から逃れようとする人々の拠り所にもなるべきです。私たちは、ビエンナーレとBACCに対して、私たちとともに暴力に反対し、平和的な抗議活動の権利を認めるよう求めます」。

 今年のビエンナーレのテーマは「脱出経路」(Escape Routes)。今日の世界で直面する多くの困難を理解し、そこから脱出する方法を探すために、アートにはなにができるのかを探究する、というものだ。声明文に署名したアーティストに加え、レアンドロ・エルリッヒ、ルー・ヤン、マリーナ・アブラモヴィッチ、オノ・ヨーコなど、合計82組のアーティストが参加予定となっている。

10月に起きたデモの様子 出典=ウィキメディア・コモンズ
(By ฮินะจังปลดแอก - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=95209364)

 声明文の最後には、アーティストたちは対話の重要性を強調しながら、変化を認める社会を求めている。「私たちアーティストは、私たちが発言し、表現し、私たちの生きるこの時代について声を上げる権利を認める社会を望みます。そのような社会は急進的な変化の要求を排除するのではなく、理解と、対話と、協同を生みだすための誓約をもって、その要求に応えてくれるものです」。

 声明文全文は以下の通り。

 バンコク・アート・ビエンナーレ2020に参加するアーティストとして、この数日間、バンコクで開催された民主化要求デモの参加者に対してなされた行為を深く憂慮しています。平和的なデモ参加者に向けて公然と警察力が行使され、放水砲まで使用されたことに、今月末のビエンナーレ開催に向けて準備を続けていた私たちは打ちひしがれています。デモの主要なリーダーたちや活動家たちが逮捕されていることも、私たちの懸念を強くしています。これら多くのできごとが、ビエンナーレのメイン会場であるバンコク・アート・アンド・カルチャー・センター(BACC)の建つパトゥムワン交差点で起きたことも、私たちのこの声明をより緊急かつ必要不可欠なものにしています。  今年のビエンナーレのテーマは「脱出経路」です。ビエンナーレとして、私たちが生きるこんにちの世界で直面する多くの困難を理解し、そこから脱出する方法を探すために、アートにはなにができるのかを探究しています。私たちを未来で待つ可能性を想像することは、現実と向きあうことからしか始まらないと私たちは信じています。それはつまり、社会的論点について思索し議論するための場としてのみアートを保っておくのではなく、アートが、私たちの目と鼻の先に現れたできごとに直接的に言及できるようにもしなければなりません。  だからこそ私たちは、デモ参加者に対するあらゆる暴力をはっきりと非難し、そのすみやかな停止を求めます。そしてデモ参加者たちの、民主主義を求めるたたかいへの支援を表明します。また私たちは、アートが民主主義社会の公共圏の重要な構成要素であるということも、ここに明言します。アートは、社会的な混乱と暴力から逃れようとする人々の拠り所にもなるべきです。私たちは、ビエンナーレとBACCに対して、私たちとともに暴力に反対し、平和的な抗議活動の権利を認めるよう求めます。  私たちアーティストは、私たちが発言し、表現し、私たちの生きるこの時代について声を上げる権利を認める社会をのぞみます。そのような社会は急進的な変化の要求を排除するのではなく、理解と、対話と、協同を生みだすための誓約をもって、その要求に応えてくれるものです。 2020年10月21日 アイ・ウェイウェイ アニッシュ・カプーア ブッサラーポーン・トーンチャイ チャンタナー・ティッププラチャート チョイ・カファイ デイン・ミッチェル ディン・Q・レ イ・へバン ホー・ルイ・アン アイナー・プーユットターノン イルワン・アーメット ジョン・アコムフラ ジュリア・フラートン・バッテン クゥワイ・サムナン リンダ・ハーヴェンシュタイン ニパン・オーラーンニウェート プラティープ・スタートーンタイ リーナ・サイニ・カラット ルアンサック・アヌワットウィモン ルンルアン・シッティルーク サラ・ナックウィ タネート・アーオシンシリ ティタ・サリナ 照屋勇賢 チョウ・シャオフ

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