ロッテ・ライオン：ヴォイド

　青山目黒で、ロッテ・ライオンによる個展「ヴォイド」が開催されている。

　ライオンの作品は、日常的な素材を基盤にしながら、空間と時間、そして鑑賞者の身体的な体験を促すものとなっている。合板や布、現地で調達可能な塗料を用いた簡素な箱型で、空間と人のあいだで親密さのあるスケールが導き出された彫刻は、表面的な観察を超え、奥に広がる自然や事象からヒントを得た色面やパターンによって鑑賞者の視点を誘導する。さらに、ライオンによる壁面のドローイングでは、シンプルなパターンが空白を際立たせ、最小限の線や形状によって空間全体を変容させる。

　これらの作品は、物体そのものの存在感を超え、空間と人の接点を見出し、詩的な体験を提供している。本展では、日本初公開となる壁掛けの彫刻シリーズの新作8点に加え、壁面の一部を活用したウォール・ペインティングも展示。これらの作品は、空間全体を彫刻的な体験としてとらえ直す。