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[ARTIST IN FOCUS]ケイト・ニュービー:空間の拡張と協働がもたらす自然環境との新たな関係性

鑑賞者と作品を取りまく空間や場所の観察を起点に、セラミックなどの自然の要素を作品に取り入れるケイト・ニュービー。昨秋より、東京での展示の機会が続いた作家に、制作へのアプローチ方法と作品の意図、そして多くの滞在制作を経た現在の関心について、話を聞いた。

取材・文=三木あき子(キュレーター)

銀座メゾンエルメス フォーラムで展示された《いつも、いつも、いつも》(2023–24)の上でPhoto © Nacása & Partners Inc. Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

空間の拡張と協働がもたらす自然環境との新たな関係性

 ケイト・ニュービーは、あるインタビューで自身の創作について「少し反逆的」と語っていたことがある。確かに彼女の活動が、その関心や制作、またその在りようや鑑賞体験において、既存のシステムに疑問を呈し、別の方法を模索しようとするものであることは事実だろう。

 例えば、彼女の代表作に初期から継続している「ポケット・ワークス・シリーズ」がある。監視員やスタッフらが、ブロンズや磁器でつくられた小さなマッチや小石などのオブジェを服のポケットから取り出し、来場者に手渡してくれたりするものだ。渡された人は直接手で作品にふれることで、予期せぬ他者との交流や親密なアートの体験に誘われるが、いっぽうで作品か否かはきわめて不明瞭で、人によってはその存在すら知らずに終わってしまう。また、筆者が初めて彼女の作品を直接的に見たのは、2022年のパレ・ド・トーキョー(パリ)やアートコンセプト画廊での展示だが、それらは現在も屋外に残っている。彼女の身体の動きが刻まれた煉瓦の床や、路上の空気を通す鋼製の蓋とすり替えられたブロンズのプレートといった作品は、建物の出入り口や外部の、普段人々が気づかないような意外な場所に控えめにあり、いわゆる普通の展示空間から逸脱した場所での展開を意識していることは明らかである。

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