EXHIBITIONS

Dan McCarthy

2024.10.12 - 11.16

Bazooka Joe BirdPot 2024 Ceramic clay, glaze, silver leaf 43.2 × 35.6 × 35.6 cm © Dan McCarthy

 KOSAKU KANECHIKAで、ダン・マッカーシーの日本での初個展が開催されている。

 ダン・マッカーシーは、その30年以上のキャリアにおいて国際的に作品を発表してきた。ペインティングやドローイングといった平面作品と並行し制作されているのが、彼のアイコン的な作品である顔のモチーフのセラミックの彫刻作品《Facepot》シリーズだ。その鮮やかな色あい、豊かな表情、親しみやすさ、プリミティブな感覚、作家の手の跡を感じさせる直接性。それらの要素があいまって、視覚的側面にとどまらない、身体あるいは感情に働きかけるような鑑賞体験を鑑賞者に与える。それは作家自身も意図しているものであることを、2022年3月に開催の桑田卓郎との2人展に寄せたステートメントのなかの「完成した器は、誰かのための何かを封じ込み、共有の経験となる」というマッカーシーの言葉が示している。

 マッカーシーの作品が非常に開かれたものであるということ。土と火、素材と向きあいながら古来の技術を使いセラミック作品を制作していること。これらのことから、マッカーシーが作品を通して自然というものとどう向きあっているかということも考えることができる。人間がその一部であり、生きる源でもある自然と、現在の人間の生活のあり方はかけ離れてしまった。マッカーシーは直感から制作をはじめると言うが、人間と自然の関係を問い、それを媒介してきたこれまでの芸術における試みにマッカーシーの仕事を位置付けることができるかもしれない。

 ハワイで生まれ、南カリフォルニアに育ったマッカーシーの作品は、彼が親しんだ太陽の光や海、西海岸の文化を思わせる。芸術が芸術のために研ぎ澄まされるのではなく、世界の中で人間が生きていることへの真摯さに焦点化するほうが重要ではないか。あたたかみのあるマッカーシーの作品はそういっているようなのだという。

 2022年の桑田卓郎との2人展に続き日本では2回目の展覧会、初の個展である本展は、新作のペインティングに加え、《BirdPot》シリーズの新作を含む約25点を展示。また、前回に引き続き、展示空間は建築家の石田建太朗によって設計。マッカーシー自身が「ブレークスルー」であると称する本シリーズを堪能してほしい。