EXHIBITIONS

三田村光土里「20世紀のかけら」

Yu Harada
2024.10.05 - 10.27

三田村光土里

 Yu Haradaで、三田村光土里による個展「20世紀のかけら」が開催されている。

 三田村光土里は1964年愛知県生まれ。現在は東京を拠点に活動している。2005年には文化庁の海外派遣芸術家としてフィンランドに滞在し、同年にフィンランドの三都市で巡回個展を開催。2006年にはウィーンの分離派会館Secessionでの個展を行うなど、国際的に活躍している。おもな展覧会・プロジェクトに「あいちトリエンナーレ2016」「アッセンブリッジ・ナゴヤ2020」「恵比寿映像祭2022」「瀬戸内国際芸術祭2022」。三田村の代表的なプロジェクト「Art & Breakfast」では、インスタレーションと参加者が一緒に朝食をとるイベントが一体化した独自の形式が注目を集めた。

 本展では、20世紀の歴史と記憶を現代的な視点で再解釈し、個人的な経験と結びつけた作品が展示。三田村は「Chronicle of the 20th Century」という事典をもとに、20世紀の重要な出来事や報道写真を断片化し古びた小物や端材に組み込むことで、抽象的な歴史を日常的なかたちで表現。とくに、作家自身が60歳という節目を迎えることをテーマに、辞典に書き残された他人の記念日のメッセージと重ねあわせながら、時代を超えた共通性を探っている。戦争や惨事など20世紀の暗い側面にも向きあい、現代の視点からとらえ直す試みとなっている。

「20世紀のかけら」は、歴史的な出来事を個人的な経験や感覚を通して再構築し、現代に生きる私たちとの関係性を探る。三田村の特徴である、日常の記憶や追憶のモチーフを紡いでいく表現が、20世紀という大きな歴史的文脈にどのように展開されるのかに注目してほしい。