EXHIBITIONS

コレクション展

ゴヤ版画『気まぐれ』『戦争の惨禍』

フランシスコ・デ・ゴヤ 版画集『気まぐれ』 1 自画像 初版は1799年
エッチング、アクアチント、ドライポイント、ビュラン、紙 神奈川県立近代美術館蔵 前期展示

 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で、コレクション展「ゴヤ版画『気まぐれ』『戦争の惨禍』」が開催される。

 鋭い眼差しで人間を描破し、近代の画家の先駆者と称されるフランシスコ・デ・ゴヤ(1746〜1828)。ゴヤの生涯は、隣国フランスの革命やナポレオン軍によるスペイン侵攻、それに対する民衆蜂起が続く激動の歴史とともにあった。自らはスペインの宮廷画家として地位を獲得しながらも、病により聴覚を失い、晩年に亡命したフランス、ボルドーで82歳の生涯を閉じた。

 様々に価値や秩序が変転するなか、ゴヤが後半生に手がけたのが銅版画だ。無音の世界で到達したそのモノクローム、光と闇のなかには、人間に対する深い問いかけが刻み込まれているのかもしれない。本展では、ゴヤの四大版画集から『気まぐれ』と『戦争の惨禍』それぞれ80点を前後期に分けて紹介。

 特集「1959―スペインにいった現代日本版画展」では、「ゴヤ版画展」とあわせて、日本におけるゴヤの受容を起点に、日本とスペインのあいだに展開した版画の交流の一端をたどる。戦後の国際的な版画交流の黎明期、同館が1951年の開館以来、ピカソやゴヤなどの海外作家の版画展を開催するいっぽうで、1959年にスペインで行った「現代日本版画展」に注目する。