EXHIBITIONS

むらたちひろ「記憶の巡り」

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 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで、むらたちひろによる個展「記憶の巡り」が開催されている。

 京都市立芸術大学では新キャンパスの移転整備工事前の数年間、元崇仁小学校の校舎で、数々の本学学生・卒業生が制作・展示を行ってきた。本学染織専攻の修了生のむらたちひろも参加作家ののひとりだ。元崇仁小学校の校舎は工事前に解体され、現在は保存された記念樹のイチョウと体育館、高瀬川のビオトープを除き、その跡地に新しい建物が建っている。

 本展では、むらたが元崇仁小学校の校舎で記録した写真や映像を用いて制作した作品群を展示。布に淡い色の染料を滲ませ、染まっていく時間を刻むむらたの作品を、記憶のなかにある輪郭のおぼろげなイメージになぞらえてみると、作品の題材となった特定の空間と時間から浮かび上がり、鑑賞者それぞれが持つ何かの記憶にも重なりあうかもしれない。目で見ている作品のイメージと、頭のなかのイメージが溶けあうことは、むらたが染色によって表現するものの、もうひとつの体験のかたちとなるだろう。