EXHIBITIONS

クリス・ベレンス「素晴らしき地下世界」

クリス・べレンス Visiting Hour 2024 36 × 26 cm Mixed media on panel

 メグミオギタギャラリーで、クリス・ベレンスによる個展「素晴らしき地下世界」が開催されている。

 クリス・ベレンスは、1999年にオランダ、スヘルトーヘンボスのアカデミー・オブ・アート&デザインでイラストレーションを修了した。2005年に、Jaski Gallery(アムステルダム)にて開催された初の大規模な個展で一躍名声を得ると、その後メグミオギタギャラリー(東京、2013、2016)、ニューヨーク、ロサンゼルス、シアトル、シンガポールなど、世界中で展覧会を開催してきた。 また、2011年に発表されたブロンディのアルバム『パニック・オブ・ガールズ』のカバーデザインも手がけるなど、幅広く活躍している。

 ベレンスは、小さな紙片に細筆やインクで細部を描き、さらに別の紙を貼りつなげ、作品の全体を緻密に構成。想像上の景色をありありと表出させる手描きの技術、ピントのずれやレンズの歪み効果により、郷愁を感じさせるような独自の表現、それらを支える高い集中力に加え、近年ではデジタル画像制作も自身の技法の一部としている。

 レンブラントやフェルメールの影響もうかがわせるベレンスの肖像画は、光と影が交錯する、幽玄な異生物の世界へと鑑賞者を誘う。いっぽうで、日本の伝統文化に見られる精霊信仰や幻想性を、インスピレーションのひとつとして挙げている。

 日本では7年半ぶりの個展となる本展では、パネルにミクストメディアで描かれた新作絵画32点が集結。自身の表現を追求し続け、試行錯誤の末にたどり着いた力作が並ぶ。