EXHIBITIONS

ラリック✕ダンス

2024.03.23 - 12.01

ブローチ「蝶の妖精」1897〜1899年頃

 箱根ラリック美術館で、企画展「ラリック✕ダンス」が開催されている。

 1924年に開催された二度目のパリ五輪の100周年に当たる今年、三度目のパリ五輪が開かれる。2024年大会から新たな競技種目としてブレイクダンスが追加されることとなった。

 パリ五輪が二度にわたり開催された頃、ルネ・ラリック(1860〜1945)はまさに時代の寵児であった。時を同じくして、ダンスの世界にも改革者たちが現れる。先導したのが、モダン・ダンスの祖とされるロイ・フラーとイサドラ・ダンカンだ。大きな布をひらめかせ、当時最先端の技術による照明の光をも纏い幻想的に踊るフラーは、1900年のパリ万博にも出演し脚光を浴びる。女性の体を縛り付けていたコルセットを脱ぎ捨て裸足で踊るダンカンはフェミニズムの先駆ともいわれ、のちにフランスでは廃れていたバレエを総合芸術として蘇らせ、パリ中の話題をさらうこととなるバレエ・リュスにも影響を与えた。彼らは当時すでに名声を得ていたロートレックやロダンなどの芸術家たちに多大なるインスピレーションをもたらした。

 ラリックは幼少期より培った観察眼と卓越したデッサン力を駆使して、舞台の上で輝くダンサーたちの姿を独自に解釈し、造形化。躍動感溢れる人体は100年の時を超えてもなお、華麗に舞い踊る。ラリックが表現したダンスの世界を堪能してほしい。