言葉がいざなう「ダンス」のかたち。『わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド』完成版が彩の国さいたま芸術劇場で上演
演劇作家・小説家の岡田利規がテキスト・演出を手がけ、ダンサー・振付家の湯浅永麻、映画監督・俳優の太田信吾がそれらを身体に取り入れ語り踊る『わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド』。本作の完成版が埼玉・彩の国さいたま芸術劇場にて9月1日〜4日に上演される。
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演劇作家・小説家、演劇カンパニー・チェルフィッチュの主宰でもある岡田利規がテキスト・演出を手掛け、ダンサー・振付家として国内外で広く活躍する湯浅永麻、映画監督・俳優の太田信吾がそれらを身体に取り入れ、語り踊る『わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド』。その作品が埼玉・彩の国さいたま芸術劇場にて9月1日〜4日に上演される。
フォロワーが30万人を超える「先生」のSNSアカウントをフォローする若い女性が、「身体の声を聴きなさい」というひとつの主張について思考を巡らせることから始まる本作は、2021年3月に彩の国さいたま芸術劇場の育成・創造プロジェクト「さいたまダンス・ラボラトリVol.3公演『明日を探る身体』」において、第一部がワーク・イン・プログレスとして披露された。来たる9月、岡田が新たに第二部、第三部を書き下ろした完成版がいよいよ上演されることとなる。完成版には俳優としても岡田作品などで特異な存在感を示す太田信吾が舞台上に加わる。
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岡田は本作について、「ナラティヴ (人の思考を規定するための物語)が世界にあふれ、できるだけ多くの支持を得ようとバトルを繰り広げています」と語る。第一部ではSNS上での言論が多くの人に影響を与える現代の状況を導入として取り上げ、湯浅の身体をフィールドに他者たちの言説が飛び交う様子が描かれた。複数の登場人物のナラティヴが行き交い、湯浅の身体を変容させていくパフォーマンスは、これまでにない「ダンス」のかたちを見せ、ダンスや演劇の関係者からも完成版を待ち望む声が多く寄せられたという。
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創造発信の場所として国内の重要な拠点になることを目指し、彩の国さいたま芸術劇場が2018年から若手ダンサーの育成と作品創作に取り組んできた「さいたまダンス・ラボラトリ」。そのダンス・ラボラトリから言葉が誘発する、新たな「ダンス」作品が生まれるといった点にも是非注目したい。