ヨーロッパで話題の振付家ノエ・スーリエによる新たなダンス体験を。『The Waves』が埼玉と京都で日本初上演

2020年よりフランス・アンジェ国立現代舞踊センターのディレクターを務め、ネザーランド・ダンス・シアター2(NDT2)の委嘱で振付を提供するなど、世界のダンス界で注目を集める振付家ノエ・スーリエ。そのスーリエが手がける『The Waves』が、彩の国さいたま芸術劇場とロームシアター京都で日本初上演される。

『The Waves』より ©José Caldeira

 世界のダンス界で注目を集める振付家のノエ・スーリエ。その注目作を目撃できるチャンスが、関東と関西で今年春に訪れる。

 スーリエは1987年パリ生まれ。カナダのナショナル・バレエ・スクール、パリ国立高等音楽・舞踊学校やベルギーのP.A.R.T.S.でダンスを学び、ソルボンヌ大学で哲学の修士号を取得。2010年にはパリ市立劇場とミュゼ・ドゥ・ラ・ダンスが主催するダンスコンクール「ダンス・エラルジー」で最優秀賞を受賞した経歴を持つ。2020年からはアンジェ国立現代舞踊センターのディレクターを務め、リヨン・オペラ座バレエ団、ネザーランド・ダンス・シアター2(NDT2)、トリシャ・ブラウン・ダンスカンパニーの委嘱で振付を提供するほか、様々な場を通して身振りと身体経験との関係、ダンスへの様々なアプローチを探求し続けている。

 2017年にパリ・ポンピドゥーセンターで発表された『Performing Art』では、美術館をダンスのステージにし、美術品を扱う専門家をパフォ―マーに、美術品のインスタレーションを振付に変えることで美術館におけるダンスの位置づけを大胆に覆し、大きな反響を呼んだ。

ノエ・スーリエ © Wilfried Thierry-Cndc

 そんなスーリエが手がけ、ヨーロッパで注目を集める作品が『The Waves』だ。『The Waves』は、スーリエにとってこれまでのリサーチの発展形に位置付けられており、わたしたちの身体の記憶や知覚、その複雑に絡み合ったディテールを呼び覚まし、身体の表現に変換しようという試みだという。

 作中では1人のパフォーマーが、イギリスの作家ヴァージニア・ウルフの長編小説『The Waves(波)』(1931年)の一節を淡々と語る。小説の中で織りなされる男女6人のモノローグのように、6人のパフォーマーによる多様なムーヴメントが緻密に重なりながら、現代音楽アンサンブル・イクトゥスが生み出す音楽と響き合う。生演奏による打楽器の変容するリズムはパフォーマーの動きと絶えず呼応し、観る者の記憶に語りかける。

 そこから出現する舞台空間が、いかにわたしたちの記憶や想像力を刺激し、新たな知覚へと導いていくのか。未知のダンス体験に身を委ねてみてはいかがだろうか。

『The Waves』より  ©José Caldeira
アンサンブル・イクトゥス  ©José Caldeira

編集部

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