EXHIBITIONS

特別展示

長谷川潔 銅版画の世界-自然をみつめるまなざし

長谷川潔 小鳥と胡蝶 1961 メゾチント 個人蔵(群馬県立近代美術館寄託)

 群馬県立近代美術館で、特別展示「長谷川潔 銅版画の世界-自然をみつめるまなざし」が開催されている。

 長谷川潔(1891〜1980)は、20世紀の版画史にその名を刻む銅版画家だ。青年時代を大正期に過ごし、日本の創作版画の草創を担った長谷川は、1918年に銅版画技法習得のためフランスへと渡り、以後帰国することなく、様々な銅版画の技法で制作を続けた。とりわけ、19世紀の写真の登場以降廃れていた銅版画技法、マニエール・ノワール(メゾチント)を再興した功績は大きなもので、その静謐で深遠な作品は国際的に高く評価されている。

 同館に、鉛筆デッサンや制作段階の試し刷り、渡仏前の木版画などの貴重な作品を含む長谷川の作品群が一括して寄託された。この優れた個人コレクションの全貌を展覧する初の機会となる本展では、同館所蔵作品を加えた115点を5章に分け、その画業の展開をたどる。会場では自然の神秘をみつめる観察眼と描写力が結実した長谷川の銅版画世界を楽しむことができる。