EXHIBITIONS

柴田敏雄「DAY FOR NIGHT」

2023.09.02 - 10.01

柴田敏雄 Gohyakukawa, Motomiya Town, Fukushima Prefecture 1987

 POETIC SCAPEで、柴田敏雄の個展「DAY FOR NIGHT」が開催されている。

 柴田は1949年東京生まれ。74年に東京藝術大学大学院油画専攻修了後、約1年間映画制作会社で働くが、作品制作への情熱を捨てることができず、75年にベルギーのゲントにある王立アカデミーに留学する。最初は東京藝術大学在学中から実践していた版画の研鑽を目指していたが、アカデミーの勧めもあり新設されたばかりの写真科に入学したことを契機に写真を始めることになる。79年留学から帰国し、4x5インチの大判カメラを用いて夜の風景写真を撮り始める。

 柴田は撮影対象を早く見つけたいという思いから、夜の写真と並行して昼間の写真にも取り組み、すでに評価の定まったものや美しい風景などではなく、一般的にはフォトジェニックとは見なされていない、ありふれたものを被写体とした作品を模索していく。その過程でダム建設予定地の近くの道路の向こうに見えたコンクリートの構築物(神奈川県愛甲郡清川村宮ヶ瀬、1983)を撮影したことで、ようやく撮影すべき対象が見つかったという。手ごたえを得た柴田はその後も撮影を続け、88年には8x10インチのカメラを使用した撮影に移行、92年には柴田の代表作となる「日本典型」を発表した。

 柴田が80年から88年にかけて撮影した夜の写真と昼の写真が、約35年の歳月を経て、ロサンゼルスの出版社DEADBEAT CLUBによって1冊の写真集『DAY FOR NIGHT』にまとめられた。本展では、当時の撮影に使用された4x5インチのネガから制作されたコンタクトプリントを中心に、その時代に作成された貴重なヴィンテージプリントもあわせて展示する。