EXHIBITIONS

やんツー個展「TEFCO vol.1 〜重力発電の夜明け〜」

2023.07.04 - 07.30

メインビジュアル

 WHITEHOUSEで、やんツーによる個展「TEFCO vol.1 〜重力発電の夜明け〜」が開催されている。

 やんツーは1984年神奈川県生まれ。2009年に多摩美術大学大学院デザイン専攻情報デザイン研究領域を修了した。セグウェイが作品鑑賞するインスタレーションや、機械学習プログラムを導入したドローイングマシーンなど、人間の行為を情報技術が代替する自律型の装置を作品として制作。様々なテクノロジーと併走し、時に誤使用しながら、人間とテクノロジーの関係に存在論的な問いを投げかけてきた。

 近作では、人間によって使い捨てるように消費されてきた同時代のテクノロジーとの和解を試み、それまでの自作への自己批判として 《脱成長のためのイメージ》(2021)を制作。また、森美術館で開催された「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(2022)では、物流や運搬といった社会で看過されがちな領域にメスを入れ、運搬ロボットが黙々と物や美術品を移動させ展示する様子を演劇的に展開させた。

 本展では、「発電」に焦点を当てたインスタレーションとして、巨大な重力発電装置を設置。重力発電とは位置エネルギーを活用した発電方法で、大きな質量を持った物体を高所から落下し、それによってタービンを回転させる発電方式である。近年、再生可能エネルギーの分野で注目されつつあるが、やんツーはエコロジー的な解答や資本主義合理性における新しい発電方式としてではなく、電気の手触りを人間に取り戻すことを主眼としてこの発電装置を制作した。

 それは今回の展覧会のタイトルであるTEFCO(Tokyo Electricity Farming COmmunity)という造語にも現れている。電気を遠くの生産地からサブスクリプションされるものとして認識することから、自らの手で「耕す」ことを通じて、別の認識の経路を開く思考装置として重力発電を展示する。