総合ディレクターを中村政人と小池一子が務め、一般社団法人東京ビエンナーレが主催する民間事業「東京ビエンナーレ2020」。このプレイベントのひとつとして、東京・日本橋のCOREDO 室町テラスの3階にある室町三井ホール&カンファレンスで「水都・日本橋のゲニウス・ロキは、どこへ向かう? コンテンポラリーアーティスト3組の新作展」が開催されている。会期は11月10日まで。
東京ビエンナーレ2020は、東京都心北東エリアの千代田区・中央区・文京区・台東区の4区を中心に開催されるもので、「江戸から続く東京の基層文化に新しいレイヤーとなる文化層をつくりだす」ことを目指す新たな芸術祭だ。
2020年夏の本番開催に先駆けて開催されている「水都・日本橋のゲニウス・ロキは、どこへ向かう? コンテンポラリーアーティスト3組の新作展」は、鈴木康広、スプツニ子!+西澤知美、やんツーによるグループ展。「水都東京 日本橋の未来」をテーマに、建築史家・陣内秀信による時代考証をもとにした、太古から地域に根づき蓄積された東京の基層文化展示とともに、近未来のテクノロジー社会に対し批評的な目を持つ3組の作家が新作を展示している。
全長11メートルの《ファスナーの船》などで知られる鈴木は、その場所にある空気中の水分を可視化する《結露の人/空気の涙》と、人の形をした氷が溶けて水に戻っていくインスタレーション《氷の人》を展示。そして野外の大屋根広場では、鈴木の代表的な作品でもある《空気の人》をで展示(《空気の人》の展示は11月3日まで)。
スプツニ子!+西澤知美は、2018年に報じられた大学医学部一般入試における女子受験者の得点一律減点問題を機に始まったプロジェクト「東京減点女子医大」を国内で初めて展示。会場では、入学案内マガジンも無料で配布されている。
またデジタルメディアを基盤に、様々な装置を用いた作品を展開してきたやんツーは、過去最大級の新作ドローイングマシン《新壱万円札試験印刷工場》によって、会場でダイナミックなドローイングを行なっている。
歴史が積層する街であり、テクノロジーの街でもある東京。ここを舞台に開催される来年の東京ビエンナーレ2020は何を描くのか? アーツ千代田 3331でも開催されているプレ展示「HOW TOKYO BIENNALE? 東京ビエンナーレ2020計画展」(11月4日まで)とあわせてチェックしてほしい。