2017.9.14

国際交流基金がヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展キュレーターを異例の再選考。結果は変わらず

2018年5月から開催される第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館キュレーターについて、国際交流基金は異例の再選考を実施した。

四谷の国際交流基金本部
前へ
次へ

 今年8月に、2018年5月から開催される第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館キュレーターを発表した国際交流基金が、同キュレーター再選考に関する記者会見を行った。

 前回の発表では、アトリエ・ワンの貝島桃代がキュレーターに就任することと、展示テーマ「東京発 建築民族誌-暮らしのためのガイドブックとプロジェクト」が明らかにされていたが、国際交流基金の柄博子理事は今回の再選考のプロセスについて「社会通念上、誤解を生みかねない過程があった」と説明。「その対応について検討した結果、再選考を行った」という。

左から、柄博子(国際交流基金理事)と松本透(国際展事業委員会建築委員会委員長)

 日本館のキュレーターについては、選考委員会が指名した最終候補者6名がコンペに参加し、審査が行われたが、選考委員会の中に貝島と婚姻関係にあり、かつアトリエ・ワンをともに主宰する塚本由晴が名を連ねていた。このことについては当初、委員会でも問題がないか議題にのぼったというが、そのままコンペは継続。最終的に貝島が選ばれた。

 この結果について、同基金は8月時点で「公平性は担保できている」としていたが、その後、他のコンペ参加者からの指摘が相次ぎ、選考プロセスについて問題があったかどうかを議論。最終選考の再選考を行うことになったという。同基金は選考において、塚本による貝島へのアドバイスなどは「一切なかった」としているが、塚本が選考委員から外れるかたちで再度選考を実施。結果として、当初と同じく貝島がキュレーターに選ばれた。

 柄理事は今回の騒動について「事務局として責任を深く感じている」と謝罪。今後は同じような問題が起こった際、どのようなレギュレーションで選考を行うのかについて、第三者を含めて規約を決める方針だという。