1843年に創業して以来、現在にわたってインテリア小物から呉服まで幅広い商品を取り扱っている川島織物セルコン。今回同社は、織物の新たなデザインや用途の可能性を拓くため、東京のファッション業界を牽引する青木明子(AKIKOAOKI)、井野将之(doublet)、堀内太郎(TARO HORIUCHI)らとコラボレーションを企画した。
同企画は、3名のデザイナーによる生地を、北欧デンマークの家具ブランド「フリッツ・ハンセン」の名作《エッグ・チェア》に張り込むというもの。そのコラボレーションチェアは、3月28日よりフリッツ・ハンセン青山本店でお披露目となる。
会場では、コラボレーションチェアのほか、3名それぞれのコレクションや新作ウェアおよびプロダクトなども展示。各ブランドの世界観を楽しむことができる。
2018年11月に、毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞を受賞するなど、近年注目が高まっている青木は、万華鏡のように色が変わり反射する織物「ビロード」を、「引箔(ひきばく)」「紋ビロード」という織物技術と併用することで、角度によって色を変化して見せる生地を作成。さらにレンズシートも採用し、透明感のある反射を実現させた。
18年の「LVMH PRIZE」でグランプリを受賞した井野も、見る角度で図柄が変わる織物「引箔レンチキュラーシート」を引箔で織り込むことに挑戦。角度によって、ジャガード布張りの椅子や革張りのソファ、木のベンチへと図柄を変化させる生地をつくった。
堀内は07年アントワープ王立美術アカデミーを首席で卒業後、10年の春夏コレクションから自身のブランド「TARO HORIUCHI」をスタート。12年には、第30回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞を受賞し、18年には自身初のメンズライン「th」を新たに立ち上げた。今回は、伝統的な織物技術「綴織(つづれおり)」の歴史と工程そのものに着目し、緞帳用の織機を使って生地を制作。緞帳の製作過程で職人が描く「織下絵」という完成形からは見えないその工程にフォーカスし、リデザインしたものを緞帳用の織機で製織したという。